2025/4/29更新
スクールフォト撮影の心得|保育園・幼稚園撮影で大切にしたい心構えと注意点
	スクールフォトの現場、とくに保育園・幼稚園の撮影では、「ただ良い写真を撮る」だけではプロの仕事とは言えません。
	子どもたちの日常や成長の瞬間を温かく記録しながら、保育の流れを乱さず、先生方と協力して撮影を進めることが求められます。
	ここでは、現場で押さえておきたいスクールフォト撮影の心得と具体的な注意点を解説します。
撮影時に意識すること
グループショットを中心に撮影する
	
		- 原則、ソロショットよりもグループショットを優先します。
 
		- 園児同士のふれあい、園児と先生との関わりを自然に写すことが大切です。
 
		- 複数の人物にピントが合うようにカメラの絞り値(f値)は原則f/5.6以上に設定します。
 
	
基本は横位置撮影
	
		- アルバム制作などの使い勝手を考え、基本は横位置で撮影します。
 
		- ただし、全身を縦長に収めたい時や、構図により縦位置を使う場面もあります。
 
	
バリエーション多く撮影する
	一般的な「販売用」のスクールフォト写真撮影は、3時間の撮影で1000枚以上の納品を求められます。
	より多くの写真を納品するために、(同じ用な写真の連続ではなく)バリエーション多い撮影が必要です。
	
		- 人数バリエーション(5人、4人、3人、2人、1人)
 
		- 構図バリエーション
 
		⇒ 少人数ショットの全身横位置、全身縦位置、上半身カット
		⇒ グループショットの正面、右斜め、左斜め、横からショット
		- 目線有り無しパリエーション
 
		目線無しの自然な写真(メイン)、声がけして目線あり、ポージングありのニコパチ写真。
		- 寄り、引きバリエーション
 
		カメラを持ち替えずに様々なバリエーションを撮影できる高倍率便利ズームの使用がおすすめです。
			
				- 室内撮影おすすめレンズ
 
				⇒ Nikon: Z 24-120mm f/4
				⇒ Canon、Sony: 24-105mm f/4
				- 屋外撮影おすすめレンズ
 
				⇒ Nikon: 24-200mm、28-400mm
				⇒ Canon、Sony: 24-240mm
			
		上記の便利ズームの利用がおすすめです
		※ただし、顔のアップすぎる構図(ドアップ)は避け、自然な距離感を大切に。
		- カメラの高さのバリエーション
 
		⇒ 子ども目線の高さ(カメラが低い位置):臨場感ある写真を撮影できます。
		⇒ 子ども目線よりも少し高い位置から:奥の子どもの顔も良く見えます。
		⇒ カメラをさらに高い位置から:広角レンズで撮影すると部屋全体が写ります。
	
	のように工夫しながら、できるだけバリエーション多く撮影します。
 全員を漏れなく、できるだけ平等に、まんべんなく撮影する
	
		- 全員を撮影する【最優先】
 
		例えば、昼食シーンの撮影では、全員が必ずどこかで写っていることが重要です。
		保護者は子どもが園でどのように過ごしているのか写真を見るのを楽しみにしています。保護者が写真を見た時に「うちの子が写っていない!」とならないように、すべての園児を撮影します。
		- 平等に撮影する
 
		カメラを向けると喜ぶ子、嫌がる子がいますが、できるだけ公平に撮影します。
		特定の園児の写真ばかりが多い、というのはできるだけ避けます。
		- クラス、学年もできるだけ平等に
 
		特に(年長クラスを重点的に、などの)撮影指示が無い場合は、各クラス、各学年もできるだけ平等に撮影します。
	
スクールフォト、カメラ設定の目安
	
絞り(f値)
	
		- 複数の人物にフォーカスをあわせるために、原則f/5.6以上に絞り込んで撮影
 
		- 暗い室内や運動会など、早いシャッター速度で撮影するために、絞りを開けて撮影することもあります
 
	
シャッター速度
	
		- 被写体ブレを防ぐ
 
		- 子どもの動きを止めるため、原則1/200秒以上
 
		- 走っているシーン、屋外撮影時にはもっと早いSSで撮影
 
		例)屋外運動会撮影時は1/1000以上のSSで撮影、少し暗い場面、動きが遅い場面でもできるだけ早いSSを使います。
	
 ISO感度
	
		- 室内撮影:ISO 800〜2500
 
		状況により、 ISO 3200〜4000も使用、さらに暗い場面では、ISO 6400〜20000(ほとんど真っ暗な部屋で撮影の際)を使うこともあります。
		- 屋外撮影:ISO64〜1000
 
		曇天時や、シャッター速度を上げて撮影した時は、ISO 1250〜2500を使うこともあります。
		- 最近のカメラは高いISO感度でも十分高画質撮影できます
 
		⇒ ブレを防ぐため、ISOは積極的に上げる判断を。カメラの常用ISO感度性能の50%程度までなら、現像時のノイズ除去で十分対応可能です。
	
露出設定
	
		- カメラの自動露出よりも若干明るめに撮影します
 
		基本露出より 1/3EV明るめで撮影すると、現像時に全体を明るく調整しやすくなります。
		- カメラモード・露出モードは、マニュアル露出がおすすめ
 
			⇒ 絞り優先・SS優先、ISOオートなどで撮影すると、は撮影ごとに明るさがバラついたり、逆光で顔が暗くなるため。
			⇒ マニュアル露出で撮影することにより、連続した写真の露出が安定するため、写真編集時の作業速度が早くなります。
	
ストロボ使用
	
		- 暗い室内で顔を明るく写すために、天井バウンスやディフューザー使用で弱くストロボを当てて撮影することが多い
 
		- 天井の色(木目、水色、桃色など)による色被りに注意
 
	
解像度設定
	
		- 横3600ピクセル以上で撮影
 
		
		- エージェントによって推奨解像度は異なるため、事前確認を
 
		エージェントごとの納品解像度の例)
		エージェント1:3600 x 2400(横方向3600ピクセル以上)
		エージェント2:1800 x 1200ピクセル以上
		エージェント3:2250 x 1500ピクセル以上
	
	納品解像度は上記の通りですが、撮影時には、大きく撮影して、現像時にサイズを縮小して納品することが多いです。
撮影現場で守るべきこと
保育優先を徹底する【重要】
	保育を最優先とし、カメラマンはあくまで「見守る存在」である意識を持ちましょう。
	どんなに素晴らしい写真を撮影できることよりも、保育が優先であることを意識して行動します。
	良い写真を撮りたいからといって、先生の動きを邪魔したり、あれこれ注文したり、高圧的な態度をとることは絶に対NGです(撮影後にクレームになることがあります)。
撮影NG項目を守る
	
		- 着替え中、裸は撮影禁止
 
		お着替え中は、別のクラスを撮影するか、または部屋の外で待機するのが良いでしょう。
		- 喧嘩している場面、先生に怒られている場面は撮影禁止
 
		⇒ 保護者が不安になる姿、先生が撮影して欲しくない姿は原則撮影NGです。
		⇒ しばらく別の園児を撮影して、撮影できるようになったら撮影する。時間が掛かりそうなら、一旦別の部屋を撮影して後で再撮影する。
		- 激しく泣いている場面は基本NG(※節分イベントなどは要確認)
 
		⇒ 人見知りして泣いている:先生に確認の上「成長の過程の一つとして」撮影してOKなことが多い。
		⇒ 節分イベントで鬼に追いかけられて泣いているシーン:先生に確認の上「成長の過程の一つとして」撮影してOKなことが多い。
		⇒ ただし、園によっては、虐待しているように見えるくらい泣いているシーンは撮影NGなこともあります。園によって基準は異なります、迷ったら、その場で必ず先生に相談すること。
		- 下着の写り込みに注意、女子の上半身裸はNG
 
		ホールで体育座り、集合写真で浴衣の裾から、など、下着の写り込みに注意。
		状況により判断
			
				- 体育座りで下着写り込み⇒写り込まないように撮影する、または(あまりに人数が多い場合は)足を伸ばして座ってもらう
 
				- 浴衣の裾の乱れ⇒直してもらう、撮影後に見つかった場合はセレクト除外、または写真修正を行う
 
				- 撮影したけど構図やタイミングの良いもの
 
				⇒ 修正できるなら修正して納品する。修正できなければセレクト削除する。
				- 乳児のおむつ写り込みはOKな場合が多いです
 
				⇒ 迷った場合はその場で先生に確認します。
				- 水遊び撮影の場合、前後逆に水着を着ている女児がたまに居ます
 
				⇒ 気づいたらすぐに先生に伝えて直してもらいます。
			
		- 鼻ほじりは撮影NG
 
		⇒ 大勢撮影中に鼻ほじりしている対象者が居た場合はトリミング修正するか、またはセレクト削除する。
		- ひどい鼻水、花風船は納品NG
 
		⇒ 先生の手が開いている場合は先生に伝えて対応してもらう「鼻水チェックお願いしまーす」
		⇒ 園児を抱っこした先生がすぐに動けない場合は、先生にティッシュを渡して拭いてもらう
		⇒ 先生が忙しそうな場合は、幼児なら、ティッシュを渡して自分で拭いてもらう、乳児の場合状況によりカメラマンが鼻拭対応することも稀にあります。
		⇒ 保育園・幼稚園の場合、室内のどこかにティッシュの箱が置いてあります。
		⇒ 多少の鼻水の場合はそのまま撮影します。
		⇒ 園によっては、鼻水写真絶対NGの場合もあります(朝の打ち合わせで要確認)
	
	撮影NGの基準は、
	
		- 写真を見た保護者が不快に思わないか
 
		- 先生が保護者に見られたくない場面でないか
 
	
	を基準に考えると判断しやすいです。
先生に確認するケース
	
		- 鼻水が出ている姿⇒先生に確認する(園によって異なります)
 
			⇒園によっては撮影NGな場合もあります。
			⇒園によっては多少の鼻水はOKな場合もあります。
			鼻水が出ていることを先生にお伝えする「鼻水チェックお願いしまーす」、または、
			幼児クラスの場合は、カメラマンがティッシュを取りに行って園児自身に吹いてもらうこともあります(保育優先のため、先生が忙しそうにしている時)
		- 撮影NG対象が居ないか
 
		まれに、撮影NG対象が居る場合があります。例えば、保育園・幼稚園に撮影に入った時に、
			
				- 一時保育・一時預かりの園児
 
				⇒ 写真販売対象外のため、撮影NGと言われることがあります。
				- 職業体験で来ている中学生
 
				- 実習に来ている大学生など
 
				⇒ 先生以外の人が居た場合は写っても良いかどうか、先生に確認します。
				- 特定の園児
 
				⇒ 保護者から撮影NGと言われている園児が稀にいます。
				⇒ 間違って写さないように、少し離れた場所で活動してもらう(部屋の中央にいると多く写り込むので、部屋の端で活動してもらう、など)、または可能なら(オレンジ色のバンダナをつけてもらうなど)目印をつけてもらう。
			
		のように、様々な撮影NG対象者が居る場合があります。撮影時に撮影NG対象かどうかの判断が難しい場合は先生に伝えて、写り込んでしまうかもしれませんが、後で削除をお願いします。と伝えてください。
		- 遠足撮影時など、別の園の園児は撮影NG
 
		⇒ もし、別の園児との判別が難しい場合は、
		
			- 先生にお伝えして帽子を裏返してもらう
 
			- 活動場所を離れた場所に変更してもらう
 
		
		などの対応ができないか確認します。
		⇒ それも難しい場合は、別の園の先生にお伝えして別園児の帽子を裏返してもらえる場合もあります。
	
【まとめ】スクールフォトは「心」で撮る仕事
	保育園・幼稚園でのスクールフォトは、ただ撮影技術を発揮するだけでなく、子どもたちと先生方の日常をそっと支えながら記録する仕事です。
	マナーを守り、保育を尊重しながら、温かいまなざしで「今しかない瞬間」を残していきましょう。
	あなたの一枚が、子どもたちと家族にとって一生の宝物になります。
スクールフォト完全ガイド、記事一覧
	スクールフォト完全ガイド
	■はじめてのスクールフォト
	├ スクールフォトカメラマンになる方法
	├ スクールフォトに必要な機材と費用
	├ スクールフォトカメラマンはいくら稼げる?副業・本業別のリアルな収入
	├ スクールフォトの仕事を獲得する5つの方法|副業からプロを目指すあなたへ
	■スクールフォトの仕事術
	スクールフォト撮影の流れ|アサインから納品・報告まで
	スクールフォト撮影の心得|保育園・幼稚園撮影で大切にしたい心構えと注意点
	スクールフォトにおける4つの撮影目的と対応のポイント
	■機材・グッズレビュー
	記事制作予定
	■副業カメラマンガイド
	副業カメラマンという選択|スクールフォトで得られる5つのメリットとは?
	■撮影テクニック・現場対応
	記事制作予定