プロカメラマンが集合写真撮影を行う際の撮影設定

2025/4/26更新

集合写真のカメラ設定

秘伝、プロカメラマンのための集合写真撮影方法ガイド
集合写真、撮影前の確認
集合写真、カメラ設定 ⇒【今ここ】
集合写真、撮影方法
集合写真、撮影後の後処理
集合写真の納品方法

プロカメラマンにとって、集合写真の撮影は、技術と芸術性が融合する瞬間です。

特に、学校や大学のような場所での撮影では、多様な個性を持つ被写体が一堂に会し、その瞬間を完璧に捉えることが求められます。

集合写真の撮影は、プロカメラマンにとって細やかな技術が求められる挑戦的な作業です。 特に、屋内と屋外の環境での撮影は、それぞれ異なる条件と課題が伴います。

この章では、まず屋内での集合写真撮影に焦点を当て、ストロボ(フラッシュ)の使い方やカメラ設定、被写体の配置に関するポイントを解説します。

続いて、屋外での撮影に移り、自然光の活用や背景の選び方など、屋内とは異なる要素に対応するための秘伝を共有します。

それぞれの環境での適切な設定を理解し、状況に応じた最高の集合写真を撮影できるようにサポートします。

目次

集合写真撮影、基本のカメラ設定

集合写真を撮影する際に、基本のカメラ設定について説明します。

集合写真撮影時の基本設定

RAW記録:あり(RAWのみ、またはJPG+RAWで撮影する)
画質:FINE(最高画質)
画像サイズ:ラージ(最大サイズ)
ホワイトバランス:オート
手ブレ※:OFF(三脚使用の場合)/ON(三脚未使用の場合)
(連続撮影設定:シングルショット)
カメラモード・撮影モード・露出設定:マニュアル露出

RAWで撮影する

(JPGではなく)RAWでも撮影することにより、撮影後に上下3段くらいの露出調整や色温度調整を行うことができます。

なお、撮影後に集合写真のJPG写真の即納品が必要な場合も、RAWも同時記録しておくことにより、万が一露出アンダー、露出オーバーになってしまった時にRAWデータを使って上下3段くらいの露出補正を後から行い露出失敗ミスを復活できます。

また、照明の影響などにより写真の色温度がおかしい時、屋外で集合写真を撮影時に雲の動きにより色温度が変化した際も、撮影後に色温度補正を行えます。

学校で複数クラスの集合写真を撮影する際も、RAWで撮影すれば制服の色を後から調整でき、全クラスで色味を統一できます。

最高解像度、最高品質設定で撮影する

スナップ写真をSサイズやMサイズなどの縮小解像度で納品している場合も、集合写真撮影時にはそのカメラで設定可能な最高解像度、最高品質で撮影しましょう。

なぜなら、集合写真は大きくプリントされることが多く、細部まで鮮明に写す必要があるためです。

三脚の使用の有無により手ブレ補正をON/OFFに設定します

三脚を使用して集合写真を撮影する際は、手ブレ補正をOFFにします。

手ブレ補正をONにしたまま三脚使用しても撮影はできますが、三脚使用時は手ブレ補正をONにした状態の場合カメラによっては撮影写真がわずかに上下左右にずれることがり手ブレ補正OFFの方が、撮影後の写真トリミング調整などの際に調整作業を行いやすくなります。

三脚を使わずに手持ちで集合写真を撮影する際は、手ブレ補正をONにします。

カメラモード・撮影モードはマニュアル露出

集合写真撮影時のカメラモード、撮影モードはマニュアル露出で撮影します。

本番撮影時に、最初にテスト撮影を行い素早く露出設定(ISO感度、f値の設定、フラッシュの光量設定)を行います。

テスト撮影を行う際は「テスト撮影でーす」のような掛け声でテスト撮影を行っていることを伝えるのが良いでしょう。何も言わずにフラッシュがピカピカ光ると「えっ、もう撮っているの?本番??」などと思われるのを防ぐため。

この記事を見ている方はプロカメラマンのはずですので「マニュアルモード」でわかると思いますが、メーカー別のカメラモード・撮影モードの表示は次の通りです。

カメラメーカー NIKON CANON SONY
マニュアル露出 M M M
絞り優先 A Av A
シャッタースピード優先 S Tv S
プログラムオート P P P

集合写真を撮影するレンズの焦点距離

一般的な集合写真撮影では、30〜60mm程度の標準焦点距離で撮影します

ほとんどの集合写真撮影は、30-60mm程度のやや広角〜標準域を使用します。

超広角(〜24mm)をあまり利用しない理由

超広角(〜24mm)を使うと端の人物の顔が横に伸びて見える(歪む)のでできるだけ30mm〜の標準域での撮影が好ましいです。

また、超広角焦点距離で撮影すると、フラッシュの光が周辺部に届きづらくなります(中央部分のみ明るくなります⇒写真編集時に補正可能)。

状況に応じて、超広角(〜24mm)を使用して撮影することもあります

次のような場面で集合写真を撮影する際は、超広角レンズを使用することもあります。

  1. 撮影が距離が取れない場所で撮影する時
  2. 狭い室内で撮影する時や、ステージ幕が閉じた状態でステージ上で撮影する時など、撮影が距離が取れない場所で撮影する時は〜24mmの超広角レンズを使用することもあります。

状況によって、60mm〜の中望遠以上の焦点距離で撮影することもあります

例えば発表会の集合写真撮影時に、ステージ上にたった対象者を、ホール後方から望遠系レンズで撮影することも稀にあります。

【屋内】集合写真、カメラ設定

【屋内】カメラ設定

ISO:ISO 1000基準、状況により、ISO 800〜最大 ISO 6400
絞り:f/8基準、状況によりf/9〜に絞れるなら絞ってもよい
SS:1/200基準、状況により 1/30-1/250sec
フラッシュ:直当て【推奨】
フラッシュ光量:マニュアル発光【推奨】
(電球色照明の室内ではオレンジフィルターの使用を推奨)
フリッカー軽減:ON【必須】
カメラモード・撮影モード・露出設定:マニュアル露出

ISO:ISO 1000基準、状況により、ISO 800〜最大 ISO 6400

屋内で集合写真撮影する際のISO感度の目安はISO 1000です。

明るめの室内なら、ISO 800くらいまで上げても良いでしょう。

状況により、(フラッシュの光に敏感な子どもがいるなどの理由で)フラッシュ使用NGの集合写真撮影もまれにあります。その場合は、室内の明るさに応じてISO感度を上げます。

また、(例えばステージ奥から、カメラ方向を向いたステージ上の演奏奏者メイン+背景の観客まで含めて明るく写したい場合など)遠くの背景も明るく撮影したい場合はISO感度を上げて撮影します。

絞り・f値:f/8基準、状況によりf/9〜に絞れるなら絞ってもよい

被写体全員にフォーカスを合わせるために、集合写真撮影時のf値設定はf/8基準で撮影します。明るい室内の場合や、被写体の奥行きがある場合はf/9〜へ絞っても構いません。

SS:1/200基準、状況により 1/30-1/250sec

SS(シャッタースピード)をカメラの同調速度の範囲内(同調速度の上限SS以下)で撮影することによりフラッシュの性能を最大限活かせます。

保育園児の集合写真撮影時は、園児が撮影中に動いてしまうこともあるので銅直速度の範囲内でできるだけ(SSが遅すぎない)1/200がおすすめです。

お使いのカメラのシンクロ速度(ハイスピードシンクロにならない最高シャッター速度)の数字を事前に確認しておきましょう。

代表的なカメラのシンクロ速度は次の通りです。

Nikon
Z9、Z8、Z6iii、Z6ii、Z7ii 1/200
D6、D5、D4、D850 1/250
Canon
R1 メカシャッター:1/200秒
電子先幕:1/250秒
電子シャッター:1/320秒
R3 メカシャッター:1/200秒
電子先幕:1/250秒
電子シャッター:1/180秒
R5 Mark II メカシャッター:1/200秒
電子先幕:1/250秒
電子シャッター:1/160秒
R6 Mark II メカシャッター:1/200秒
電子先幕:1/250秒

被写体の動きが少ない(卒園式などの)撮影の場合や、フラッシュを使わずに撮影する場合、奥の背景まで明るく写したい場合などは、ISO感度を上げすぎないにシャッター速度を1/160、1/125、1/100、1/60、1/30などの遅いシャッターで撮影することもあります。

「ISO感度を高く、シャッター速度を早くすると⇒被写体がぶれないが、高感度ノイズが出ることがある」または「ISO感度を低く、シャッター速度を遅くすると⇒高感度ノイズは少なくなるが被写体ブレすることがある」のどちらかを選ぶとすると、ISOの感度を上げてSSを上げることを選びます。高感度ノイズは、撮影後に写真編集ソフトを使ってある程度消すことはできますが、被写体ブレをあとから消すことはできないからです。

フラッシュ:直当て【推奨】

フラッシュは(天バンでなく)直当てを推奨します。直当てすることによりフラッシュの性能を最大限活かせます。

フラッシュを直当てすることにより、少ない発光量で撮影できるので連続撮影時に光量低下・発光しないリスクを軽減できます。 ソフトパネルを使って直当て撮影がおすすめです。

直当て発光させる場合の発光量は1/16〜1/4が基準。(本番撮影直前にテスト発光を行い)素早く光量調整します。

集合写真撮影時に、直当てでなく天バンを使用する、というカメラマンも居ます。その場合はキャッチライトパネルや提灯型ディフューザーを使うことによりキャッチライト効果が得られます。

被写体人数が多い場合など、奥の方の人物の顔が暗いという場合に、天板の角度調整を行い狙った場所に光を届ける、という高度な使い方もあります。本番撮影直前(被写体が並んでいる最中、または並んだ直後など)に素早くテスト発光を行いフラッシュの角度調整を行います。

フラッシュが真正面方向を向いていること(左右に少し傾いていないこと)も確認します。

フラッシュ光量:マニュアル発光【推奨】

フラッシュをマニュアル発光させることにより撮影後のレタッチが楽になる、発光量を上げすぎないことにより連射しても光量が安定するというメリットがあります。撮影直前に素早く発光量を調整します。

一般的なクリップオンストロボ(Profoto A10、Nikon SB-5000など)を使用する場合のマニュアル発光光量の目安は1/16〜1/4程度(Profoto A10の発光光量の目安は7前後)です。

ストロボのマニュアル発光設定に慣れていない場合は、TTL(Canonの場合はETTL、Nikonの場合はTTL-BLまたはTTL)を使っても良いでしょう。その場合も(時間と気持ちの余裕があるなら)撮影直前に素早くテスト撮影を行い被写体のの明るさを見ながら発光光量補正で明るさ調整してみましょう。

電球色照明の室内で撮影する場合はオレンジフィルターの使用を推奨

電球色照明の室内で撮影する場合は、フラッシュの発光部にオレンジフィルターを使用することにより、被写体全体の顔の色味を自然に写せます。

Nikonの純正ストロボを購入した場合は、付属品としてオレンジフィルターが付いてきます。Profoto A10の場合は別売り品となります。

集合写真撮影を行うプロカメラマンなら、オレンジフィルターを携帯しておいた方が良いでしょう。

電球色照明の室内で、オレンジフィルターを使わずに撮影すると、フラッシュの光が届く場所が白い色になり、フラッシュが届きづらい箇所(左右、または奥の人物)の顔が(室内照明の影響を受けて)電球色かぶりの色になります。

オレンジフィルターが無い場合に集合写真を行う際は、フラッシュにワイドパネルを装着する、でるだけ広角にならない位置から撮影するなどで対応します。

また撮影後の集合写真の色味が位置により異なる場合は、Adobe LrCのマスク機能を使って色温度を調整するという裏技もあります(写真編集時に調整するよりも、電球色照明で集合写真撮影を行い際は、撮影時にオレンジフィルターを使用した方が手間がかからないでしょう)。

フリッカー軽減:ON【必須】

フリッカー軽減設定が可能なカメラで屋内撮影を行い際は、フリッカー軽減=ONに設定します。

フリッカー軽減=OFFのまま室内撮影を行うと、照明の種類によってはフリッカーの影響を受けて写真毎に色味が判定しなかったり、部分的に暗くなったり、写真に薄っすらとしましま模様がでることがあります。

フリッカーの影響を受けた写真は撮影後の修正が難しかったり、または修正できずに使えない写真になることもあるので、フリッカー軽減はONにして撮影しましょう。

万が一、フリッカー軽減=OFFのまま撮影する、またはフリッカ軽減機能の付いていないカメラで撮影する場合は、多めのショット撮影を行い、その中からフリッカーの影響が少ない写真をセレクトします。

【屋外】集合写真、カメラ設定

【屋外】カメラ設定

ISO:ISO 200基準、状況により、ISO 64〜ISO 2000
絞り:f/8〜f/11基準、状況によりf/13〜に絞ってもよい
SS:1/200基準、状況により 1/125-1/250sec
フラッシュ:直当て【必須】
フラッシュ光量:マニュアル発光【推奨】

SS(シャッタースピード)をカメラの同調速度の範囲内(同調速度の上限SS以下)で撮影することによりフラッシュの性能を最大限活かせます。

集合写真撮影時のf値(絞り値)は、f/8〜f/11基準で撮影します。絞りをf/13以上に絞るとレンズの回折現象により解像度が低下することがあります。

ISO感度はできるだけ低い方がノイズが少なくきれいな写真になります。カメラの基準感度がISO 64-25600の場合は、屋外での集合写真撮影時には ISO 64まで下げて撮影しても大丈夫です。

曇り空、雨天時撮影などで周囲が暗い場合はISO 1000以上にISO感度をあげて撮影することもありますが通常はISO 200〜400程度で撮影できるでしょう。

シャッター速度は、1/200基準。カメラの同調速度の範囲内(同調速度の上限SS以下)のSSで撮影することによりフラッシュの性能を最大限活かせます。

特殊な状況で1/1000〜の高速シャッターを使って撮影することもあります。全員がジャンプした瞬間を撮影する集合写真など。

フラッシュは直当て【必須】。天井がないのでバウンス効果はありません。

フラッシュの光量は(TTLではなく)マニュアルで設定【推奨】。直当てで発光させる場合の発光量は1/4〜1/1が基準。テスト発光を行い素早く光量調整します。

集合写真撮影時に、カメラ設定を素早く切り替える方法

スナップ撮影中に突然、「カメラマンさん!今ここで集合写真お願いします!」

そんな声をかけられた経験、ありませんか?

イベント現場では、急な集合写真のリクエストが飛び込むこともしばしば。

その一瞬に焦らず、迷いなくカメラ設定を切り替えるためには、事前の「カスタム設定の準備」がカギになります。

ニコンユーザー必見!撮影メニュー「A~D」を活用する

Nikon Z8、Z9、D850、D6などのハイアマ・プロ機では、「A〜D」の各撮影メニューに異なるカメラ設定を記憶できます。

設定例:

  • Aメニュー:通常のスナップ撮影用
  • Cメニュー:集合写真専用の設定
「撮影メニューの拡張」をONにすることで、露出設定情報も「A〜D」に記憶できます。

Cメニューに記憶する集合写真用のカメラ設定例:

  • 撮影モード:M(マニュアル露出)
  • シャッター速度:1/200秒(ハイスピードシンクロにならないシャッター速度を設定)
  • 絞り値:f/8(被写界深度を稼ぎ、全員にピントを合わせる)
  • ISO感度:ISO1000(室内照明に対応)
  • 画質モード:RAWまたはRAW+FINE★(編集耐性の高い形式)
  • 手ブレ補正:OFF(三脚使用時)
  • フリッカー軽減:ON

これらのカメラ設定を事前に「Cメニュー」に登録しておけば、iメニューやメニュー画面から即座に呼び出し可能。「通常撮影(A)」⇔「集合写真撮影のカメラ設定(C)」をスピーディに切り替えることができます。

Nikon Z6iii、Z6iiなどのアマチュア機では「C1〜C3」のカスタムメニューを活用

Nikon Z6iii、Z6iiのようなミドルクラス機では「C1~C3」のカスタム設定に集合写真用の設定を記憶できます。

ただし、注意点があります。

Nikon Z6iii、Z6iiiのミドルクラス機では、C1〜C3に記憶したカメラ設定は、C1〜C3の切り替えや電源OFFのタイミングで「カメラ設定を記憶した時点の設定」に戻る仕様のため、撮影途中の露出値などの微調整はリセットされてしまいます。

このため、「微調整を保持したい場合」や「複数回の集合写真を撮る予定がある場合」には注意が必要です。 プロ機での「A〜Dメニュー」の方が柔軟に対応できます。

他メーカー(CANON、SONYなど)でもカスタム設定を活用しよう

CANONやSONYなど他メーカーでも、「カスタム撮影モード(CANON)」や「カスタム撮影設定登録(SONY)」「メモリーリコール機能」などの名称でカメラ設定を記憶できる機能が搭載されている機種が多くあります。

集合写真用の設定をあらかじめ登録しておけば、瞬時に必要な状態へと切り替えが可能です。

プロならではの習慣:事前に会場光を確認しておく

イベント前に会場の明るさ・照明環境をチェックしておくことで、ISO感度や絞り値などのカメラ設定を最適化して「集合写真用設定」を事前に仕上げておくことができます。

この習慣を身に付けることで、(カスタム設定を集合写真撮影モードに変更し)撮影の流れで素早く集合写真を撮影し、(カスタム設定を通常設定に戻し)すぐに通常撮影に戻るという素早いカメラ設定の変更をミスなく行うことができ、

  • シャッター速度の不足によるブレや露出不足
  • F値不足によるピント抜け
  • ホワイトバランスミス
といったトラブルも未然に防げます。

まとめ:カスタム設定で「いつでも集合写真OK!」

  • イベント中の急な集合写真リクエストにも即対応
  • 撮影メニュー「A〜D」や「C1〜C3」で事前に設定を記憶
  • ニコン・キヤノン・ソニー問わず、設定の呼び出しを瞬時に行える体制を整える

プロカメラマンにとって、撮影機会を逃さない=信頼を得る最大のポイントです。

事前準備を怠らず、次の現場から「集合写真も安心して任せられるカメラマン」になりましょう

集合写真撮影、カメラの高さ

集合写真の仕上がりを左右する重要な要素のひとつが、「カメラの高さ」です。

構図やポージングだけでなく、カメラの位置(高さ)によって写真全体のバランスや印象が大きく変わるため、しっかりと理解しておきたいポイントです。

適切な「カメラの高さ」とは?

集合写真において理想的なのは、写真に写る建物や背景の垂直ラインがきちんと垂直に見える高さです。

カメラの位置が適切であれば、構図に安定感が出て、人物も自然なバランスで配置されます。

カメラの高さを調整する際、人物の上下の余白を見ながら高さ調整します

人物の左右余白は人物1.5〜2人程度開け、人物の下部よりも上部の余白を多めにつくります。

人物の下部は足が切れないようにカメラの高さ、上下角度を調整します。

カメラの高さが低すぎるとどうなるか?

カメラ位置が低いと、被写体を見上げる形になり、次のような影響が出ます。

  • 写真全体が下からあおったような印象に
  • 背景の垂直ラインが上にすぼまる台形のような歪みに
  • デメリット:複数列ある集合写真では、後列の人物が見えにくくなり、若干奥の人物にフォーカスが合いづらくなります
これは、特に広角レンズを使用した場合に顕著に現れるため注意が必要です。

カメラの高さが高すぎるとどうなるか?

一方、カメラの位置が高すぎると、今度は見下ろす形になり、以下のような問題が発生します。

  • 背景が下にすぼまる逆台形に歪む
  • メリット:奥の人物の顔が少し見えやすくなります
  • メリット:奥の人物へのフォーカスが少し合いやすくなります
  • わずかに少し見下ろす高さから撮影すると、奥の列の人物の顔が見やすくなり、フォーカスも合わせやすくなるというメリットもあります。

    【まとめ】集合写真撮影時のカメラ高さの目安

    集合写真の撮影対象人物が10〜20人くらいの場合は、カメラマンの目の高さくらいから集合写真を撮影すると垂直ラインが垂直ラインに近くなり美しく撮影できます。

    集合写真の撮影対象人物が20〜40人くらいの場合は、カメラマンの目の高さよりも少し高いくらいの位置から撮影すると、わずかに見上げる撮影になったとしてもわずかな角度ですので美しく撮影できます。 人物の下の余白が大きくなってしまう場合は、撮影後にトリミングで調整します。

    集合写真の撮影対象人物が10人を超える撮影になる場合は、カメラマンは脚立の上から撮影するなどしてできるだけ高い位置から撮影することにより奥の人物まで全体をバランス良く撮影できます。

    保育園で数名の乳児(赤ちゃん)を撮影する場合は、カメラの高さは赤ちゃんの目線の高さ+α程度にして赤ちゃん目線で集合写真を撮影すると臨場感ある写真を撮影できます。赤ちゃんを撮影する際に高い位置から撮影すると赤ちゃんを見下ろす構図の写真になってしまうので、赤ちゃん撮影時は赤ちゃんの目線の高さ、子どもを撮影する際は子供の目線の高さを意識してカメラの高さを調整します。

    秘伝、プロカメラマンのための集合写真撮影方法ガイド、記事一覧

    秘伝、プロカメラマンのための集合写真撮影方法ガイド
    ■集合写真撮影の流れ
    集合写真、撮影前の確認
    集合写真、カメラ設定
    集合写真、撮影方法
    集合写真、撮影後の後処理
    集合写真の納品方法

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    ├ 赤ちゃん、乳児の集合写真撮影方法
    ├ 卒業式、卒園式など、フォーマルな場面での集合写真撮影方法
    ├ ひな壇を使用した集合写真撮影の際の並ばせ方、声がけ例
    ├ 新年度クラス集合写真を撮影する際のフロー

    ■集合写真撮影に役立つ情報
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