集合写真、撮影時のプロの技

2025/4/12更新

集合写真の撮影方法

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集合写真の撮影は、ただ全員をカメラに収めるだけではなく、統一感のある美しい写真に仕上げるための技術が求められます。

本ガイドでは、プロカメラマンが集合写真を撮影する際に知っておきたい重要なポイントを詳しく解説します。

まず、人物の並びパターン、並ばせ方、その基本的な方法から始め、バランスの取れた構図の作り方、そして全体のフォーカスをしっかり合わせるための技術を紹介します。

さらに、より良い写真を撮影するためのコツ、全員の目線をカメラに集める方法、自然な笑顔を引き出すテクニックなど、実際の撮影現場で役立つ秘訣もお伝えします。

これらのポイントを押さえることで、ただの「集合写真」ではなく、記憶に残る一枚を撮影するスキルが身につくことでしょう。

目次

集合写真の並びパターン

横一列撮影パターン

〜10名程度以下の場合は、一列横並びで撮影できます。

4名、5名などのように2列並びでも良いでしょう。二列並びにして「横幅を狭く」することにより一人ひとりの顔を大きく写せます。

二列並びパターン

2列並びには次のようなパターンがあります。

  1. 前列がしゃがむ、後列が立つ
  2. 前列が体育座り、後列が立つ
  3. 前列が足を前に伸ばして座る、後列が立つ
  4. 前列が正座またはお姉さん座り、後列が立つ
  5. 前列が椅子に座る、後列が立つ

集合写真、並びパターンのポイント、それは「全員の顔が見えること」です

集合写真は、「全員の顔が見えること」が重要です。

全員の顔が見えるための並び方、それは

後列の方は、「前列の人物の真後ろ」ではなく、「前列の人と人の間」に並ぶことで顔が見えやすくなります。

後列の人物が片目がギリギリカメラから見える位置に並んでしまうが無いように、集合写真に「写る人からカメラが見える」ではなく、「カメラから全員の顔が見えている」ことを確認しましょう。

「全員の顔が見えていること」をファインダー(または背面液晶)で確認します。

「カメラから被写体全員の顔がしっかり見ていること」を撮影時に確認し、顔が見えていない場合はその場で伝えて並びを調整してもらいます。

集合写真撮影時には、「カメラを手持ち撮影」ではなく「三脚を使って撮影」を行うことにより構図がずれることなく、全体の状況を見渡すことができます。

最前列の人物の下着が見えないように注意しましょう

最前列の人物の下着が見えないように注意しましょう。下着が見えてしまいそうな場合は、足を伸ばして座ってもらう、または女子が後列に立ってもらいます。

夏祭りの集合写真撮影時など、浴衣の裾がはだけないようにはだけている場合は直してもらいましょう。

前列が椅子に座っている場合もフラッシュの光によりスカートの奥が見えてしまう場合がありますので撮影時に十分確認しましょう。

三列並びパターン

〜31名くらいまで、3列並びで撮影できます。

1列目(前列)は、座る、またはしゃがみます。前列の下着が見えないように、浴衣の場合は裾がはだけないように確認します。

2列目は、膝立ち、または中腰になります。保育園児などの小さい子どもの場合は膝立ちができない場合は膝立ちになってもらいます。中腰は疲れるので撮影前までは立った状態で、撮影直前に中腰になってもらうと良いでしょう。

階段で撮影する場合、またはひな壇を使って撮影する場合は2列目も立って撮影できるでしょう。

保育園で保護者も一緒に撮影する場合など、子どもが2列、後方に保護者が並ぶ場合は、2列めの子どもが立ち、3列目に大人が立つ、ということもあります。

保育園などで乳児などの小さい年齢の子ども(0〜3歳児)を撮影する場合は、中腰や膝立ちが難しい場合があるので、人数が多少多くても2列並び方式を使用します。

現場の状況に応じて並びパターンを決めて、素早く並ばせます。

2列め以降の後ろの人は、前の人の真後ろに立つと顔が(前の人の頭に隠れて)見えづらくなるので、可能な限り前の人の間になるよう交互に並んでもらいます。

後ろの列の人は前の人の間に並ぶ、ということで、(後列からではなく)前列から順番に並んでもらうと位置調整がしやすいです。

並ばせる人物の数は、1列目:n人、2列目:n+1人(2列めは前列から左右に半分ずつはみ出す):3列目:n人以下(最後列で人数調整、センタリング)で並ぶとバランス良くなります。

四列以上の並びパターン

被写体人数が31人を超える場合は4列以上で並ぶ、または3列で横の人数を多くして撮影します。

前の人物の間に立つ(カメラから見ると人の半分ずつ交互に並んでいる)ことにより全員の顔が見えやすくなります。

後列に保護者+そのお子様が並び子どもの顔が見えづらいときは、(後列の子どもや赤ちゃんの顔が見えるように)抱っこできるなら抱っこしてもらいましょう。

後列の顔が見えづらくなることが予想される場合は、後ろの人顔が見えるように、台や椅子の上に立ってもらいます。

階段やひな壇を使用して撮影するパターン

階段や(組み立て式のアルミ製)ひな壇を使用することにより後列の人物の顔も見えやすく撮影することができます。

ひな壇を使用する場合は、1列目=椅子に座る、2列め=地面に立つ、3列目以降=ひな壇の上に立って撮影します。

ひな壇の幅が少し足りない場合はひな壇の左右に椅子を置いて、片足を椅子に乗せた状態で撮影します。

ひな壇を使って撮影する際も、並ばせる順番は最前列、2列め、3列目、と順番に並ばせます。

学校で集合写真を撮影する場合は出席番号順や背の高さ順に並んで撮影することが良くあり、その場合、並ばせる前に1列に並んでもらい、最前列から「1番」「2番」「3」」・・・と両手で示しながら座っていただきます。

最前列の中央に校長先生や担任の先生が座る場合はそのスペースを開けて座らせます。パーマセルテープがある場合は、先生が座る椅子の背の部分にパーマセルテープを貼って印を付けておくとスムースに並ばせられるでしょう。

3列目以降の人がひな壇の上に登りやすいように、2列め以降の一番右の方は一時的に列の横で待っていただきひな壇に上るスペースを開けて全員が並び終わったあとに右端の人物が並びます。

ひな壇を使用する場合は1列目=n人、2列目=n+1人(前列のよりも左右端が半分左右にはみ出す)、3列目=nのように2列めの人物を1列目の人物よりも1人多い人数に並ばせるとバランス良い写真になります。

ひな壇の場合、最後列で人数調整します(最後列をセンタリングさせて並ばせます)。最後列が1名のみになってしまう場合は、最後列−1列目の人数を少し減らしてバランス良く並ばせます。

赤ちゃん(乳児)の集合写真を撮影するときの並びパターン

保育園で乳児クラス(0〜2才児)の集合写真を撮影する歳、人数が5人くらいまでなら、そのまま壁際に座ってもらい撮影します。

人数が多くなった場合、横並びに座らせることが難しい場合は、床に適当に座ったりハイハイしている様子を撮影することもあります。

椅子が使える場合は、椅子に座らせて並ばせるときれいな構図で撮影できます。

保護者も一緒に撮影する場合は抱っこしてもらい撮影します。

50人を超えるような大人数の集合写真の並びパターン

ホールなどで50人を超えるような大人数をひな壇を使用せずに撮影する場合は、できるだけ幅が狭くなるように並んでもらい(前列は床に座る、後方は立つなどして、全員の顔が見えるように並ばせる)、カメラの高さを高い位置から撮影することにより、全員の顔が写るように撮影します。

集合写真の並ばせ方、並ばせる時の注意点

前列から順番に並ばせる

2列め以降の人物が前の(人物の真後ろではなく)前の人物の間になるように並ばせることにより全員の顔が見える写真を撮影できます。

「こちらへどうぞ」「もうすこしこちらへ、前の人の間にお願いします」と指示出しする際は片手や指差しではなく、両手を使って合図するとより丁寧に見られます。

並ばせながら、全員の顔が見えることを確認する

身長により後列の顔が見えづらくなりそうな場合は前後の並ばせ順を変更したり、保護者様にお子様を抱っこしていただくなど、柔軟に判断しながら素早く並ばせます。

下着が見えないように、浴衣の裾がはだけないように確認する

最前列の人物が座る場合は、下着が見えないように確認する。状況に応じて、「1列目に男子、2列め以降に女子」「スカートの方は2列めへ」「1列目は足を伸ばして座りましょう」など調整可能なら調整します。

最前列が椅子に座る場合、「女性の方は膝を閉じてください」と伝えます。

マスクを(外せるなら)外していただく

マスクをしたままの人がいた場合、「マスクを外せるかたは外してください」とお願いしてみます。

「このままで(マスクを付けたまま写りたい)」という場合はそのまま撮影します。

あごマスクの場合は、「マスクを完全に外せますでしょうか?」と、顎マスクでは無い状態にしてもらいます。

マスクを手に持ったままの場合は、マスクがはポケットにいれるなどして、マスクが写らないようにしていただくとより美しい写真に仕上がります。

人物の隙間が開いている場合はできるだけ横幅が狭くなるように狭くなってもらう

「もう少し全体を狭くなっていただくと顔が大きく写ります」「(生徒の場合は)もっと近づいて仲良くなろう!」などを伝えて横幅が狭くなった方が顔が大きく写ります。

また、広角系の焦点距離で撮影する場合は、左右の周辺近い人が横に伸びてしまうので狭く並んでいただいた方がきれいに写ります。

子ども+保護者の集合写真を撮影する際に後列に立つ保護者数が多すぎて画角に入り切らない場合、もっと狭くなっていただきたい場合は、左右の方に内側を向くように少し斜めに立ってもらい、肩が重なるように並んでいただきます。肩を重ねる場合は、内側方向に向いて重なっていただきます(つまり、内側を向くので、右側と左側で向く方向が異なります)。

できるだけ幅を狭くした方が人物の顔が大きく写りますが、中学3年生以上の生徒や大人など(子どもよりも)身体の大きな人物の集合写真を撮影する際、最前列が椅子に座る場合、椅子が大きくない場合は、椅子が50cm間隔に並ぶように調整すると最前列の肩が重なることなく綺麗に写ります(椅子を連結させてしまうと肩がぶつかったり重なったりする場合は椅子と椅子との隙間をバランスよく開けて最前列の人物間隔を調整します)。

バランス良く並んでもらう

全体の横幅が狭い方が顔を大きく写せますが、被写体人数が少人数の場合(1列5人以下など)の場合は、逆に少し余裕を持って並んでいただいた方が写真のバランスが良くなることもあります。

出来上がり写真を想像しながら、バランス良く並んでもらいましょう。

最前列のを横一列にまっすぐに並ばせる方法

床や地面に何かの線があれば、その線を基準に並んでもらいます。

線が無い場合は、地面に靴で線をつけることもあります。

または、子どもの集合写真をよく撮影するというカメラマンなら、3〜4mのビニール紐、または、「4m程度の長なわ」を使って並ぶ位置を示すことにより、よりプロっぽさを演出できるでしょう。

撮影現場によっては、並んでもらう際に、先生が「左右の人物が若干前にくる円弧のような並びで並ばせよう」としてしまうこともありますが、その場合は「まっすぐにお願いします」と伝えて横方向は直線になるように並んでもらいましょう(横方向が直線の方が全体にフォーカスが合いやすくなります)。

松葉杖や車椅子の方などがいる場合

松葉杖や車椅子の方などがいる場合、段の上でなく地面に立つ、最前列で写る、など臨機応変に対応しましょう。

奥行きが深くならないよう、前後の隙間も狭く並んでもらう

複数列に並んで撮影する場合、前後の人物の隙間はできるだけ狭い方が全体に(最後列の人物にも)フォーカスが合いやすくなります。

前後を広く並んでいた場合は「前後を狭くなってもらえますかー」とその場でお願いしましょう。

サポートが必要な子どもが居る場合

撮影中に動いてしまうなど、サポートが必要な子どもが居る場合は、隣や後ろに先生に立ってもらう(抱きしめてもらう、抱っこしてもらう)などの対応をしましょう。

撮影中に動いてしまうなどのサポートが必要な子どもが居るかどうかは、撮影前の打ち合わせで確認しておくと良いです。

動き回ったりしてどうしても撮影しづらい場合は、その場で(スクールフォトの場合は)先生に「このまま撮影しても良いですか?」と確認します。

または、「子ども達のタイミングで撮影しますので先生は皆さんカメラを見ていてくださいねー」と伝えて、子どもがカメラを向いた瞬間に撮影します。

できるだけ素早く並ばせる

集合写真撮影に時間がかかると写真に写る人達の(特に子どもの場合)集中が切れてしまうので、できるだけ素早く並ばせます。

関係ない人物や不要な物が写り込まないかを確認する

背景に関係無い人物が写り込んでいないか、並ぶ人物の左右やカメラと人物の間に荷物(バッグなど)や足元に不要な物が写り込まないか確認します。

集合写真に写るために持っていたバッグを横や足元に置いた場合、集合写真に写り込んでしまいますで、できるだけ荷物を移動させてます。

その荷物の持ち主がすでに並び終えて居る場合は「こちら、写り込んでしまうので移動してもよろしいでしょうか?」と確認してカメラマンが移動します。

集合写真撮影時にカメラマンが並ばせるか、先生が並ばせるか

保育園・幼稚園などの未就学児のスクールフォト撮影の場合はほとんどの場合、先生が並ばせてくれます。

小学校以上の(小中高、大学)の集合写真撮影時には先生でなく、ほとんどの場合にカメラマンが直接児童・生徒・学生に指示しながら並ばせます。

学校で新年度クラス写真を撮影する際の注意点

制服が正しく着用されているか、校章が付いているか(学校によっては校章付きを指示されることがあります)、女子のリボンが正しく着用されているかなどを確認します。

制服を忘れた、校章がついていないなどの場合は、このまま撮影するか、または他のクラスの人から一時的に借りられないか、先生に相談してみます。

卒業記念写真なフォーマルな写真撮影時の注意点

卒業式、卒園式の集合写真撮影時に前列が椅子に座る場合は、

【卒業写真の集合写真】女子は膝を閉じて、「左手を上に手を重ねてください(例を示す)」。
男子は「膝の間はこぶし2つ入るくらいの幅(または、膝は肩幅くらい)に開いて」両手は「軽くグー(例を示す)」で膝の上にお願いします。
後ろの方(2列目以降)は、手を身体の横に着けて「気をつけ姿勢」でお願いします。
と伝えて並ばせると美しい写真になります。足を斜めにする場合は、バラバラな方向にならないようにバランスよく調整しましょう。

ボタンの掛け違いが無いか、胸元が開いていないか、リボンが曲がっていないか確認。ジャケットのポケットのベロは出してもらう。胸に花が指している場合は全員同じになっているかを確認します。

【重要】このまま撮影して良いか迷った時にはその場で必ず担当者に確認する

学校で集合撮影を行う際に、一人だけ服装が異なる場合(校章がついていない、リボンが斜めになっている、髪の毛で顔が隠れているなど)、背景に関係無い人や物(バッグや雑然とした棚の上など)が写り込むの場合など、このまま撮影して良いか迷った時には必ず担当者(写真担当者、クラスの担任の先生など)に確認します。

事前に確認することにより、正常な状態で撮影できたり、またはそのまま撮影した場合も撮影後のクレームリスクを軽減できます。

集合写真の構図、余白のバランスについて

カメラの左右方向(パン方向)、回転方向を調整します

カメラが左右、回転方向で水平になっているかを撮影前に調整します。多少の傾きは撮影後の写真編集時に傾き補正で修正できます。

水準器を表示させるか、または雲台の水準器で回転方向を水平にします。

パン方向を素早く合わせる方法1:背景の上下の水平線(壁と床の間の水平線・カーテンレール・天井と壁の間の水平線・天井やはりの水平線・天井の照明の位置の水平線)などの間が水平に見えるように調整します。上下の水平線も含めて撮影しておくと、撮影後に傾き調整でパン方向調整できます。

パン方向を素早く合わせる方法2:カメラの位置と最前列の位置が真正面になっているかをフローリングの垂直線や体育館のラインなどで確認します。例えば、体育館のステージ前中央で撮影する場合、最前列位置からカメラ方向まで伸びるラインを中心に人物を配置し、ラインの真上にカメラを置き、ファイダーの垂直中心がライン上にくればパン方向を正確に合わせることができます。

なお、カメラの前後上下方向は水平でなくて構いません。

写真の左右は1.5〜2人分以上の空けて撮影します【重要】

ファインダー内では全員が画角内に入っていても、写真をプリントする際には左右が人物1人分くらいトリミングで切れてしまいます。左右の余白をギリギリに撮影してしまうと写真をプリントした際に左右の人物が見切れてしまいますので、少なくとも左右に1.5〜2人分程度空けて撮影します。

また、撮影後に傾き補正を行う場合も周辺部が切り取られてしまいますので、十分な余白を作って撮影するのが良いでしょう。

人物の下側に帯をつける分の余白を作ります

一般的に、集合写真には写真の下部に帯をつけることが多いです。人物が下部ぎりぎりにならないように、帯を付けられるだけの余白を作って撮影します。

撮影エージェントによっては、写真の下に帯をつけることあり、帯の幅も文字の行数(1〜2行)により必要な下部余白は様々なので撮影目的に合わせて余白を調整します。

写真の上部に十分な余白を作った方が写真のバランスは良くなります

人物が写真上の上に行きすぎないように、十分な上部の余白を作って撮影します。写真の左右はプリント時に大きく切り取られますが、上下もプリント時に若干(プリント写真の2〜3mm分が)切り取れてしまいますので上下ともに、人物がギリギリにならないように広めに撮影しておきます。

写真の上下左右の余白について

上下左右の余白がどれくらいあればよいかわからない場合は、左右余白は人物3人以上、上下は、上の余白が多めになるように人物を配置して撮影しておけば、撮影後のトリミングで調整できます。

余白が少なすぎて調整できない、回転補正したら左右の余白が減ってしまった。と後から困らないために、上下左右の余白は多めに撮影しておくのがおすすめです。

ちなみに、写真プリント時の解像度の目安としては、2Lサイズのプリント写真(300DPIでプリントする場合)が、横ピクセル=2250ピクセル(プリント時に左右が切り取られて実際に使われるのは2150ピクセル程度)、縦ピクセル=1500程度です。

集合写真、フォーカスの合わせ方

最前列、中央の人物にフォーカスを合わせます。

カメラの被写界深度(前後のフォーカスが合う範囲)は、フォーカスポイント地点の手前よりも奥の方が広くなります。

また集合写真を見た際に奥の人物よりも手前の人物に最初に目が行くもの(また、メイン被写体が最前列に居るもの)なので、最前列の中央の人物のフォーカスを合わせます。

最前列の中央の人物でフォーカスをあわせて、絞り値をf/8に絞れば、通常の集合写真(最大3〜4列)では全体にフォーカスが合うことでしょう。

また、列数が多い場合、被写体人数が多い場合は、カメラを若干下向きに傾けて撮影できるよう高い位置から撮影することにより、奥の人物にも、よりフォーカスが合いやすくなります。

より良い集合写真を撮影する方法

声がけで、撮影タイミングをわかりやすく伝える

撮影タイミングがわからない場合、写る人物はどのタイミングで目を開けていれば良いか、笑顔になればよいかわかりません。

撮影タイミングをわかりやす伝えるために、声がけが重要です。おすすめの声がけは、

サン、ニー、イチ、はいっ!(カシャ)(カシャ)(カシャ)

です。「3、2、1、はいっ!で撮影しますので、*ショット撮影しますので光っている間は目を開けた状態(笑顔)でお願いします。」と伝えます。

撮影時間に余裕がある場合、より良い写真を撮影したい場合(卒業式の記念写真など)は、その後に「では、最初にタイミングの練習しますねー。練習です、では行きます。3、2、1、はいっ!(カシャ)(カシャ)(カシャ)」と本番と同じタイミングでフラッシュを光らせて撮影タイミングを丁寧に知らせます。

上記例では、撮影のタイミングでシングルショット✕3回撮影しています。

高性能なクリップオンストロボ(Profoto A10など)を使用すると、(フル発光でなければ)。割りと早いタイミングで連続発光させても全ショット暗くなることなくちゃんと光ります。

連続撮影速度が早い場合や、一般的なメーカー純正ストロボの場合、発光間隔にチャージが間に合わずに2回め、3回め発行時にチャージ不足によりストロボが光らなかったり、光量不足で光ってしまうことがあります。

お使いのストロボがどれくらいの光量ならどれくらいの連続撮影で問題なく使えるか、事前にお使いのストロボの性能を把握しておきましょう。

例)Profoto A10の場合、1/4〜1/8程度の光量で使用すると、3回の連続撮影で光量不足になることなく安定して光りますが100%のフル発光で撮影すると、2回連続撮影すると2回めは光量不足になります(チャージ間隔が2.5秒くらいかかります)。

ストロボはTTLで撮影するのではなくマニュアル発光設定で使用することにより、発光量を調整できるので完全に発光するタイミングで連続撮影撮影できるでしょう。

連続撮影を行うことにより、全体の撮影枚数が多くなり、より、全員が目を開けた状態の写真を撮影しやすくなります。

また連続撮影を行うことにより、1枚目でと2枚目で別の人物が目を閉じた場合も2枚の写真を一部合成して全員が目を開けた写真を作ることができます(撮影間隔が長くなると人物が動いてしまいますが、連続撮影した写真は顔の傾きなどもそれほど変わらないのでより合成しやすくます。

撮影枚数を伝える、全体で3〜4回撮影する

上記「3、2、1、はいっ!(カシャ)(カシャ)(カシャ)」を3回くらい撮影します。3ショット✕3回=全体で9ショット撮影できます。

「全部で3〜4回撮影しますねー」「ちょっと写真を確認しますねー(全員が写っているか確認する、顔が見えない人がいれば位置調整を行う)」「あと2回です」「じゃ次で最後です」「後1枚だけ撮影しますね」と、残りの撮影回数を伝えると、より集中力を持って良い写真を撮影できることでしょう。

全員の目線をもらう方法

全員の目線をもらった写真を撮影するために一番重要なことは撮影タイミングを知らせることです。「3、2、1」と言いながらカメラの真上で手を左右に大きく降ることも効果的でしょう(三脚+リモートレリーズケーブルを使って撮影します)。

他に、どこを見てよいのかわからないというケースもあります。被写体が「3歳以上〜大人まで」の場合は、「この黒い丸いところを見てください」とレンズを指して伝えることにより、よりレンズを見てもらえます。

被写体が乳児(0〜2歳児)の場合はおもちゃを使う、音が出るおもちゃを使うことにより、赤ちゃんの目線をカメラ方向に向けることができます。乳児の集合写真を撮影するために一番おすすめなのが「アンパンマン ピープー人形」です(Amazonで600円程度で購入できます)。

「さー、何が出るかなー」
(と注目させておいて)
「3、2、1、アンパンマーン!」

と言いながらレンズの上でピープー人形をレンズの上でピープー鳴らすと、アンパンマンパワー、おもちゃの音により、一瞬で赤ちゃんがアンパンマンを見ます。その瞬間に(カシャ)(カシャ)(カシャ)をシャッターを切ります。

それ以外に目線が外れてしまう原因で一番多いのが、集合写真撮影カメラマンの横で別の人(先生や保護者)が同じタイミングで撮影してしまうことです。その場合、

「最初にカメラマンが撮影しますのでその後で撮影をお願いします」

とお伝えして、撮影するのはカメラマンだけ、という状態にしてもらいましょう。回りの人には、カメラを下げてもらいます(撮影しなくてもカメラを構えているだけで、目線がそちらへ行くことがあります)。

また、子どもたちの目線をもらうために、カメラの横で先生がぬいぐるみや音が出るおもちゃ(すずなど)を使って目線を向けようとしていただくことあります。

カメラの横で先生がそれを行うと、子どもたちの目線は、カメラを見る人と先生の方向を見る人に分かれて目線がばらばらになってしまいますので

「カメラマンにお任せください」

と伝えて、子どもたちに注文してもらうのはカメラ(カメラマン)だけ、という状況にしてもらいましょう。

なかなかカメラ方向を見ない子どもがいて、その子をカメラに向かせようと被写体の中の先生が子どもを見てしまうケース(先生の目線がもらえないケース)もあります。その場合は、

「子どものタイミングで撮影しますので、先生はずっとカメラを見ていてください」

とお伝えして、子ども達がカメラを向いた瞬間に撮影を行います。

素早く撮影する

並び終わった後はできるだけ素早く撮影を行います。

特に、子どもや幼児の集合写真を撮影する場合は撮影時間が長くなってしまうと集中が切れてしまい、下や横を向く子や砂いじりを初めてしまう子どもも出てきたりします。

撮影時間の目安としては、撮影開始から撮影終了までの時間は30秒〜長くても1分以内を目安に撮影できることを目指しましょう。

会場のBGMなどの音量が大きすぎてカメラマンの掛け声が被写体に届きづらい場合

運動会終了後などに集合写真を撮影する場合に、会場に流れているBGMでカメラマンの「3、2、1、はいっ!」の掛け声が被写体に届きづらいことがあります。

その場合は、BGMを切る、または音量を下げてもらう、または(借りられるなら)マイクをお借りして撮影を行います。

また、上級技としては、拡声器付きのマイクをカメラマンが持参する、というワザもあります。おすすめ商品は、「サンワサプライの MM-SPAMP11N」という製品です。 重さ150g程度と小型軽量ながら30人くらいまでの集合写真撮影を行う歳に、マイクについている拡声器によりカメラマンの声を大きな声で届けることができます。

集合写真、笑顔になってもらう方法

一番シンプルで効果的なのは

「皆さん、笑顔でお願いします!」

と伝えることです。これだけで、大体のケース(乳児を除く)で笑顔になってもらえます。

集合写真撮影の経験を積み重ねて行くことにより、独自のトークで笑顔を引き出すことができるようになるでしょう。

小さい子どもを撮影する際はおもちゃを使って笑顔にさせることもできます

被写体が0〜3歳児の場合は、上述のアンパンマンのピープー人形を使うことにより、アンパンマンが登場した瞬間に子どもたちの目が輝き笑顔になることが多いです。その瞬間に撮影しましょう。

保育園の集合写真撮影でも4〜5歳児の場合は「アンパンマンのおもちゃ」を使うと子ども扱いされていると思われてしまうこともあるので、撮影前の打ち合わせで先生に確認すること。

また、状況によっておもちゃを使いたくなった場合は、撮影時にみんな(被写体)の前で「これを使ってもいいですか〜?」とアンパンマンを見せて「いいよー」とみんなが答えた場合は使って、撮影時に「ピープー」なった時に笑顔になることもあります。

「いや、いらなーい、赤ちゃんじゃなーい」などという園児が多い場合は、おもちゃを使わずにカメラマンのトークで笑顔にしてみましょう。

子ども達を撮影する際は

子ども達を撮影する際は、良い表情をした時に褒めることにより、さらに良い表情(笑顔)になってもらえることもあります。

【使い方に注意が必要】「い」の口で終わる言葉を言ってもらう

「まめまきー」「さくらぐみー」など、最後に「い」の口の形で終わる言葉を言ってもらうことで笑顔の形に近くなります。

注意点:力が入りすぎると「まめまきーーーー!!!!」のように大きな声で言い過ぎると表情が崩れてしまうので、使い方に注意が必要です。状況に応じて使ってみましょう。

保護者様に笑顔になって貰う方法

子どもと一緒に撮影する保護者様に笑顔になって貰う方法

「保護者様はお子様以上の笑顔でお願いします」

と伝えると、一瞬で皆さんが笑顔になります。その瞬間を撮影しましょう。

カメラマンのトークで笑顔になってもらう

カメラマン毎に様々なトーク技を持っていると思います。あなた自身のトークの技を磨いてください。

撮影時に迷うことがあれば撮影担当者にその場で確認します

どうしても目線が合わない人物がいたり、背景に関係ない人物が写り込む場合など、状況を伝えて、「このまま撮影してもいいですかー」と撮影担当者または責任者にその場で確認します。

「そのまま撮影してください」と確認を貰えれば、撮影後、納品後にクレームが発生するリスクを大幅に軽減できます。

【重要】間違っても、「ちょっとあちの人が写り込んで邪魔なんですけどー」のなどと汚い言葉を使ってしまうと「子どもだから仕方ないでしょー」と言われて後からクレームになってしまう場合もありますので、確認する際は「丁寧な言葉」「ポジティブな表現」で確認しましょう。

撮影時間が想定よりも長くなってしまった場合など

撮影時間が想定よりも長くなってしまった場合などは、撮影直後に撮影担当者(また責任者)の方へ「****してすみませんでしたー」と一言伝えるだけで、撮影終了後のクレーム発生リスクを大きく軽減できます。

集合写真撮影の上級ワザ

電球色照明の室内で撮影する場合はオレンジフィルターを使用する

電球色照明の場所で撮影する際は、フラッシュの発光部分にオレンジフィルターを装着することにより自然な色で撮影できます。

電球色照明の室内でオレンジフィルターを使わずに撮影すると、フラッシュの光が当たる場所が青っぽくなり、フラッシュ光が届きづらい場所が黄色っぽくなります(電球色かぶりしてしまいます)。

室内撮影時に、地明かりがくらい状態(ISO 1000、1/200、f/8程度)で撮影する場合は、フラッシュ光の影響が大きくなりますので、フラッシュの光が被写体全体にまんべんなく届いている場合は、それほど電球色被りを着にしなくても良いレベルの写真を撮影できます。

また、一般的なスクールフォト写真撮影では電球色照明の室内で撮影する場合にオレンジフィルターを使わなくてもクレームにつながることは少ないと思います。

卒業写真などの重要な集合写真を撮影する際に、電球色照明の場所で撮影することにより、よりきれいな写真に仕上げることができます。

Nikonの純正ストロボならオレンジフィルターが標準付属品として付属しています。Profoto A10の場合はオレンジフィルターは別売品となります。

プロカメラマンなら、カメラバッグの中にオレンジフィルターを常備しておくと、きっといつか役に立つことでしょう。

集合写真の撮影を提案する

プロの現場では、クライアントから事前に集合写真の撮影依頼がない場合でも、こちらから提案することが重要です。

集合写真は、イベントや行事の思い出を一枚に凝縮する貴重な記録であり、多くの人にとって後から振り返る大切な写真となります。撮影当日は個人写真やスナップ撮影に集中しがちですが、全員が揃った瞬間を捉える集合写真は、クライアントにとって価値ある追加サービスとなることが多いです。

あなたから積極的に「集合写真も撮影しましょうか?」と提案することで、クライアントがその重要性に気づき、喜んでもらえる可能性が高まります。特に学校やイベントのような大規模な場面では、一堂に会する機会は貴重であり、後々に感謝される場面も少なくありません。

結果として、クライアントの満足度が向上し、信頼関係を強化することにもつながります。

また、写真販売エージェント経由で撮影を受注している場合は集合写真を撮影することにより(一般的に集合写真の販売単価は高く、かつ売上枚数も多くなるので)エージェントの売上も上がりますのでエージェントからの評価も高くなることでしょう。

事前に予定の無い集合写真を撮影する際の注意点

事前に予定が無い集合写真を撮影する場合、もしかしたら対象者全員が揃っていない状態かもしれません。例えば、宿泊イベントで部屋ごとの集合写真を撮影する場合は「全員揃っていますか?」と確認することにより確実にその部屋の集合写真を撮影できます。

グループ単位で集合写真を撮影する場合は、できるだけ全グループの集合写真を撮影しましょう。

例えば、学校の宿泊イベントで部屋毎の集合写真を撮影する場合は、部屋の撮り漏れが発生しないよう、担当の先生に「宿泊している部屋番号教えてもらう」「撮影済みの部屋をメモし」「すべての部屋の集合写真を撮影する」ということを心がけましょう。

写真販売エージェント経由で撮影を受注して、事前情報で集合写真予定が無い場合に集合写真を撮影した場合は現場の責任者に「集合写真として納品しても良いですか?」と確認しましょう。

一般的に「スナップ写真」と「集合写真」では、「集合写真」の方が販売単価が高くなりますので確認なしに確認なしに単価の高い集合写真として販売してしまうと後からクレームにつながることもあります。

もしかしたら「スナップとして納品をお願いします」と言われるかもしれません。その場合はスナップ写真として納品したとしても、きっと写真を購入した方からは喜ばれることでしょう。

雨や雪が降る屋外で撮影する場合はフラッシュあり、無しの2パターンを撮影する

雨や雪が降る屋外で集合写真を撮影する場合、フラッシュを使うと手前の雪や雨が白く光ってしまうことがあります。

その場合は、念の為、フラッシュあり、フラッシュ無しの2パターンを撮影しておきましょう。

重要な集合写真撮影では2台のカメラで行う

卒業式や入学式の記念写真など、2度と撮影できない一生の記念になる重要な集合写真を撮影する場合はメインカメラに加えて、押さえのカメラも使い2台のカメラで集合写真を撮影します。

ほとんどの場合はメインカメラで撮影した写真を使うことになるとは思いますが、万が一の機材トラブルや設定間違いによりうまく撮影出来ない時に、押さえカメラで撮影した集合写真を使えることがあります。

また、横に並べた2台のカメラで撮影することにより、被写体のメガネへの反射違いによりどちらかはメガネが反射しているが、もう一方のカメラで撮影した写真はメガネへの反射が無く(少なく)使える写真が撮影できた、というメリットもあります。

2台のカメラを使って撮影する際は、一般的には、1台のカメラで撮影を行った後に

「じゃ、次は押さえのカメラで撮影しまーす」

と伝えて撮影します(押さえのカメラは三脚無しに撮影することもあります)。

機材をしっかりと準備することにより、2台の三脚(カメラ)を横に並べて、同時に(または、右左右左と交互連射で)撮影することもあります。

インターナショナルスクールなど、英語圏の人を対象に集合写真撮影する際の声がけ例

インターナショナルスクールなどで集合写真撮影時の、英語の声がけ例は次の通りです。

スーパーハッピースマイル、プリーズ!
Super Happy Smile Please!
スリー、ツー、ワン、スマーイル!!
Three, Two, One, Smile!!

シンプルな英語ですが、効果があります。ぜひ、使って見てください。

「このカメラでも撮影してください」と言われた場合は

「このカメラ(スマホ)でも撮影してください!」とカメラ(スマホ)を渡されそうになった場合、一般的に撮影エージェントに所属して撮影エージェント経由で撮影依頼が入っている場合はルールにより、お客様のカメラやスマホで撮影するのはNGとなっていることが多いです。

その場合は

「すみません、ルール上できないんですよ〜」

と、当然のようにお断りしましょう。お客様のカメラ(スマホ)で撮影して良いかどうかは、事前にエージェントのルールを確認しておきましょう。

お客様のカメラやスマホを預かっての撮影がNGな理由は、誤ってカメラ(スマホ)を落としては破損してしまうリスクがあることや、カメラマンが撮影した写真を販売して売上を上げるビジネスモデルなのにお客様のカメラで撮影すると写真売上が下がってしまうかもしれない、などの理由によるものです。

直接お客様から撮影ご依頼を頂いているカメラマンの場合は、お客様のカメラ(スマホ)で撮影するかどうかは、カメラマン自身の判断で行って下さい。

プロカメラマンのための集合写真撮影方法ガイド、記事一覧

秘伝、プロカメラマンのための集合写真撮影方法ガイド
■集合写真撮影の流れ
集合写真、撮影前の確認
集合写真、カメラ設定
集合写真、撮影方法
集合写真、撮影後の後処理
集合写真の納品方法

■集合写真撮影テクニック(記事制作中)
├ 集合写真撮影のカメラ設定を素早く行う方法
├ 赤ちゃん、乳児の集合写真撮影方法
├ 卒業式、卒園式など、フォーマルな場面での集合写真撮影方法
├ ひな壇を使用した集合写真撮影の際の並ばせ方、声がけ例
├ 新年度クラス集合写真を撮影する際のフロー
├ ピアノ発表会での集合写真撮影方法

■集合写真撮影に役立つ情報
集合写真、撮影時に使うと役立つ道具