プロカメラマンが集合写真撮影前に確認すること

2025/4/14更新

集合写真、撮影前の確認

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集合写真の撮影は、ただシャッターを切るだけでは完璧な一枚にはなりません。 素晴らしい集合写真を撮影するためには、準備段階での細かな確認が成功の鍵を握ります。

撮影前の段取りや環境の整備が整ってこそ、全員が自然な表情で写り、構図やライティングが最大限に活かされた写真が生まれるのです。

この章では、プロとして押さえておくべき撮影前の確認ポイントを解説し、確実に素晴らしい結果を得るための準備方法をお伝えします。

目次

集合写真、撮影日当日、撮影前の確認事項

撮影日当日に担当者の方(スクールフォト撮影の場合は担当先生)と次の内容について確認します。

集合写真撮影タイミングを確認

イベント撮影の流れのどのタイミングで集合写真を撮影するかを確認します。

イベント別の集合写真撮影タイミング例は次の通りです。

  1. 遠足
  2. (歩き疲れる前の)前半に撮影することが多いです。バス遠足、電車遠足の際は、最終地点に到着した際にその場所が分かる場所(施設の看板前や、特徴的なモニュメントの前)で撮影します。
  3. 登山遠足
  4. 頂上(ゴール地点)でも撮影します。途中の絶景スポットで撮影することもあります。
  5. ピアノ発表会
  6. 発表会終了後にステージ上で撮影します。1部、2部、3部のように複数の部に分かれて行う際は各部の終了時に撮影することもあります。
  7. 演奏会
  8. 演奏会終了後にステージ上で撮影します。演奏者の後方から客席に向かって演奏者+客席全体を含めて撮影することもあります。
  9. 発表会
  10. 保育園の発表会では、その発表の衣装を着ている状態で撮影します。発表プログラムの発表前または、発表直後(前後のどちらのパターンもあります)にステージ上で(幕の内側)で撮影したり、または、発表前が始まる前に保育室やテラスなどで撮影することもあります。発表会によっては、各クラスのプログラムの最後の決めポーズを発表の流れで素早く撮影することもあれば、カメラマンが客席へ移動して、集合写真撮影することもあります。
  11. 運動会
  12. 運動会終了後に運動場(体育館)で撮影することが多いです。保育園の運動会の場合、乳児クラスが早く終了し早く解散になる場合、乳児クラス終了時点で撮影することもあります。
  13. 卒園式、入園式
  14. 式が終わった後に撮影します。園児+先生パターンに加えて、園児+先生+保護者パターンで撮影することもあります。
  15. 卒業式、入学式
  16. 式が終わった後に撮影します。生徒+先生パターンに加えて、生徒+先生+保護者パターンで撮影することもあります。
  17. 新年度クラス集合(中学、高校)
  18. 入学式が終わったあと、別日で1週間以内に撮影することが多いです。

どこで集合写真を撮影するか

そのイベントを象徴する場所で撮影することが多いです。「どこがいいですかねー」と尋ねられることもあります。良い場所があれば集合写真の撮影場所を提案しても良いでしょう。

学校や施設の屋外で集合写真撮影を行う場合などは、(撮影時間帯の)太陽光または影の状況を事前に確認することにより、より良い撮影場所を提案できるでしょう。

(状況により)集合写真撮影パターンを確認

スクールフォト(学校写真)の場合は、

  1. 園児(生徒)のみ
  2. 園児(生徒)+先生
  3. 園児(生徒)+保護者
など、様々なパターンを撮影することがあります。

スクールフォトの場合は、(時間の関係で)保育園では年長クラスのみ、または学校では最上級生のみ撮影することもあります。これは、卒園アルバム(卒業アルバム)に 使われる前提と考えて良いでしょう。

発表会の撮影では、例えば衣装の背中に名前が書かれている際に、背中側の集合写真を撮影する、という特殊パターンもまれにあります。

追加で、状況により確認する項目

必要事項、不明な点は事前にしっかりと確認することにより、撮影後のクレーム発生リスクを軽減できます。

  1. 三脚利用OKか?
  2. イベントによっては、進行上集合写真撮影に時間をかけたくないために三脚無しで撮影して欲しいと言われることもあります。
  3. 集合写真撮影時に声出しOKか?
  4. 「さん、にー、いち、はいっ!」とカメラマンが声がけすることにより撮影タイミングを知らせ目線を集めることができますが、イベントによっては声出し不可の場合もあります。
  5. 保育園で集合写真撮影する場合は、おもちゃを使って良いか?
  6. 「おもちゃを使って子どもたちの目線を集める」という手法を使う場合は事前に確認しましょう。園(先生)・イベントによってはおもちゃ利用不可と言われることもあります。
  7. カメラマンがどこから撮影するか
  8. 例えばステージ上で写真を撮影する場合、「幕が閉じている幕の内側で撮影する」「カメラマンがスナップ撮影を行っている最後列位置から撮影する」「カメラマンが客席の中に移動して撮影する」というパターンがあります。客席の中へ移動して撮影する際は、事前に大体のカメラ位置を確認しておきましょう。また撮影の際にお客様へ移動をお願いすることがある旨、または、撮影時に集合写真にお客様の後頭部の写り込みを防ぐために前方のお客様に左右へ移動していただけるか、など、必要事項を確認しておきましょう。
  9. 何か撮影要望はありますか?
  10. 他に何か撮影要望や注意事項を確認しておきましょう。保育園集合写真撮影時には、園によっては「寄り添いが必要な(動いてなかなか撮影しづらい)園児が一人います」などの情報をいただけることがあります。その際はどのように撮影するか(そのまま撮影するか、状況によっては先生が抱っこしてもらえればと思います。と伝えるなど)事前確認しておけば、よりプロフェッショナルに見られるでしょう。
  11. 複数クラスを撮影する場合は
  12. 複数クラスを撮影する場合は、どの順番で撮影するか、何クラスあるかを事前に確認することにより撮り漏れリスクを軽減できるでしょう。
  13. 複数クラスを複数カメラマンが撮影する場合は
  14. 事前にどのカメラマンがどのクラスを撮影するか、またはどの順番に撮影するかなどの計画を事前に立てて置くことにより撮り漏れリスクを軽減できるでしょう。
  15. 撮影場所の照明、明るさ
  16. 撮影前に事前に撮影場所の照明(色温度=昼光色か、電球色か)、撮影時の明るさ事前に確認できるようでしたら事前確認することにより、より撮影失敗リスクを軽減できるでしょう。
  17. フラッシュ利用OKか?
  18. ほとんどの集合写真撮影時にはフラッシュを利用しますが、まれに、フラッシュの光に敏感な子どもがいるのでフラッシュを使わずに撮影して欲しいという要望をいただくこともあります。

【屋外】集合写真撮影におすすめの場所(撮影場所の提案)

  1. その場所、イベントを象徴する場所
  2. 看板前、モニュメント前、運動会の入退場門の前、絶景を背景に。
  3. 背景に関係無い人物が写り込む場所は避けたい
  4. 背景に関係ない人物が写り込む場所はできれば撮影を避けたいです。人物が写り込む場合は「後ろに人が写り込みますが大丈夫でしょうか?」と確認してみましょう。背景の人が動かせない場合はそのまま撮影することもあります。または背景の人に移動していただく場合もあります。撮影時に確認しておくことにより写真納品後のクレームリスクを軽減できます。または、背景に小さく写る人物を写真編集時に消しゴムマジックで(Adobe LrCで)消去するという技もあります(撮影時に気づかず写り込んでしまったものを写真編集で消去する、ということもあります)。

【屋外】太陽の方向、集合写真撮影におすすめの場所、避けたい場所

【屋外】できれば避けたい:順光すぎる場所

被写体の前方から直射日光が当たる場所は撮影時に眩しくて目を開けられない(目が細くなってしまう)のでできるだけ避けてください。

被写体の左右斜め前方や横方向に太陽がある「斜光」、または後方の高い位置に太陽がある「逆光」がおすすめです。

【屋外】撮影時に注意が必要:逆光

逆光で撮影する場合、背景が白飛びしない場所は撮影OKです。

背景が白飛びするほど明るい場合はフラッシュの光量を大きく上げて顔が明るくなるように撮影します。

ただし、逆光でも太陽が低い位置にある場合で、カメラのレンズに日光が当たる場所はフレアーが発生することもあるので撮影NGです。

カメラのレンズに直射日光が当たる場合はカメラを影の位置に移動する、またはカメラのレンズが影になるように直射日光を遮って撮影します。

【屋外】絶対NG:木漏れ日により、まだらな光が射し込む場所

キラキラと木漏れ日が射し込む場所は撮影NGです。集合写真に写る顔がまだら模様になってしまいます。

例えば、桜が綺麗だからといって、桜の木漏れ日が顔に当たる場所で撮影すると、顔がまだら模様になってします。

【屋外】絶対NG:一部に直射日光があたり、一部が影になってしまう場所

一部に直射日光が当たる場所は撮影NGです。明るい部分が白飛びしたり、一部だけが明るすぎる(暗すぎる)写真になり撮影後の調整も難しいです。

朝到着時にひな壇を設置して午前中に写真撮影を行う場合、朝は完全に日影だった場所も撮影時点で(途中のクラスから)一部に日が当たり始めるということもありますので撮影準備を行う際は太陽の動きも考慮しましょう。

複数クラスを撮影する際に途中から一部に日が当たり始めたりした場合は、状況に応じて撮影場所を変更(ひな壇を移動)しましょう。

毎年撮影している学校の場合は、エージェントに事前に撮影場所を確認する、または、撮影場所を決める際に先生にも「昨年はどちらで撮影しましたか?」と聞いてみることによりほとんど解決できるでしょう。

秘伝、プロカメラマンのための集合写真撮影方法ガイド、記事一覧

秘伝、プロカメラマンのための集合写真撮影方法ガイド
■集合写真撮影の流れ
集合写真、撮影前の確認
集合写真、カメラ設定
集合写真、撮影方法
集合写真、撮影後の後処理
集合写真の納品方法

■集合写真撮影テクニック(記事制作中)
├ 集合写真撮影のカメラ設定を素早く行う方法
├ 赤ちゃん、乳児の集合写真撮影方法
├ 卒業式、卒園式など、フォーマルな場面での集合写真撮影方法
├ ひな壇を使用した集合写真撮影の際の並ばせ方、声がけ例
├ 新年度クラス集合写真を撮影する際のフロー
├ ピアノ発表会での集合写真撮影方法

■集合写真撮影に役立つ情報
集合写真、撮影時に使うと役立つ道具