卒園式は、園児にとって人生最初の“旅立ち”であり、保護者にとっては子どもの成長を実感する大切な節目でもあります。
その特別な一日を写真に残すことは、プロのカメラマンにとって大きな責任であると同時に、かけがえのない感動の瞬間に立ち会える貴重な仕事でもあります。
式典の厳かな雰囲気を壊さず、園児や先生、保護者の自然な表情を捉えるためには、事前の準備・動線の確認・各シーンごとの立ち位置・機材の選定など、細やかな配慮と計画が必要です。
本記事では、卒園式の全体の流れを把握したうえで、シーンごとに押さえておきたい撮影のポイントをプロカメラマン向けにわかりやすくまとめています。
保護者の心に届く一枚を撮るためのヒントとして、ぜひお役立てください。
目次
- 卒園式(保育園・幼稚園)撮影の基本的な流れ(全体概要)
- 卒園式(保育園・幼稚園)【式典本番】の流れ
- 卒園式撮影のポイント(全体)
- 撮影開始前の先生との打ち合わせポイント
- 看板前家族写真撮影のポイント
- 卒園式、朝の控室、撮影ポイント
- 開式の言葉、卒園児入場シーン
- 【最重要】証書授与シーンの撮影方法
- 記念品贈呈シーンの撮影方法
- (在園児による)送る言葉・歌の撮影方法
- (卒園児による)お別れの言葉・歌の撮影方法
- 園生活思い出のビデオ上映シーンの撮影方法
- 卒園児退場シーンの撮影方法
- 卒園式(保育園・幼稚園)、集合写真の撮影方法
- その他、イメージカット撮影のおすすめ
- 謝恩会の撮影方法
- 卒園式、カメラマンの服装
- 卒園式(保育園・幼稚園)、撮影方法のまとめ
卒園式の撮影は、以下のような一連の流れで進行することが一般的です。
※園によっては、式典開始前に集合写真を撮影することもあります。
卒園式の進行は園によって異なりますが、主に以下のような構成です。
卒園式において、保護者がもっとも写真として残したいと思うのが証書を受け取るシーンです。
このとき園児は、保護席に背を向けており、保護者からは園児の表情が見えません。
つまり、授与の瞬間の表情を写せるのはカメラマンだけです。 だからこそ、プロのカメラマンには、この一瞬を逃さず、一人ひとり全員を確実に記録する責任があります。
証書授与シーンをきちんと押さえることで、保護者にとって一生の宝物となる写真を提供できます。
卒園式はフォーマルな式典であり、保護者・先生・園児が真剣に向き合う場です。
カメラマンは決して主役ではなく、“記録する存在”として空気を乱さないことが求められます。
カメラマンの所作が静かで丁寧であるほど、式全体の空気が守られ、 写真にも「その場の美しさと感動」が自然に写り込みます。
卒園式は一発勝負の現場です。
何かトラブルがあったとき、撮り直しができるシーンはありません。
機材トラブルに備えて、すぐに持ち替えられる場所に予備カメラを準備しておくのもポイントです。
メイン機(標準ズーム)、予備機(標準ズーム)、サブ機(望遠ズーム)の3台体制で撮影するのも良いでしょう。
卒園式の撮影は、単に記録するだけではありません。
園児の表情、保護者の思い、先生のまなざし、そのすべてを一枚の写真に込めることが、プロの仕事です。
その中でも「証書授与の瞬間」は最も大切な1枚、その瞬間に立ち会えるのは、プロカメラマンのあなただけです。
静かに、控えめに、けれど確実に。
卒園式という大切な1日を、写真というかたちに美しく残しましょう。
卒園式撮影を成功させるために、事前確認で差がつくプロの段取りについて解説します。
卒園式撮影では、「当日の動きに柔軟に対応する力」と同時に、「事前の打ち合わせの質」が撮影の成功を大きく左右します。
カメラマンにとって式前の先生との打ち合わせは、“撮影の設計図を描くための大切な時間”です。
この記事では、卒園式撮影の現場で、先生との打ち合わせ時に確認すべきポイントを詳しく解説します。
まず初めに、式の全体像を正確に把握することが重要です。
式次第(当日のプログラム)または、園内の年間行事予定表のコピーを事前に受け取り、どのタイミングで何が起こるのかを頭に入れておくことで、撮影ポジション・タイミングの判断がスムーズになります。
撮影本番で迷わないためには、「実際の会場」で動線を確認する打ち合わせが理想的です。
撮影成功のカギは、「カメラマンがどこに立ち、どの瞬間をどう撮るか」を明確にしておくことです。
卒園式では、入場・証書授与・退場・卒園児による歌など、園児が移動するシーンが複数あります。
朝の打ち合わせで、各シーンでの園児の動線や向く方向を確認します。
園児の動線、園児がどの方向を向くか、カメラマンの立ち位置、必要に応じた移動ルート。
これらをすべて事前に確認し、式の進行とともにカメラマンがどこに立つべきか、どのタイミングで動くかをあらかじめ決めておくことが重要です。
式の開始時刻を確認し、それまでの時間に看板前家族写真を撮影しても良いかを確認します。
登園した卒園児の控室を確認し、看板前家族写真撮影と、控室の園児の様子(園児の胸にコサージュをつける様子)のどちらの撮影を優先するかについて確認します。
控室や看板前撮影を行っていても、式典が始まる10分前には会場に戻り本番撮影の準備を行います。
卒園式で最も重要な撮影シーンである「証書授与」は、朝の事前打ち合わせの段階で撮影シミュレーションをしておくことが不可欠です。
証書授与シーンでは、どの位置で証書が手渡されるか、どちらの手で受け取るか、受け取った後にどこへ戻るのか、などの一連の流れも把握しておくと、ベストな瞬間を逃さず撮影できます。
確認すべきポイント:
マイクや装飾が画角の邪魔になる場合は、先生に相談して位置の変更をお願いすることも可能です。
卒園式は一発勝負。
機材トラブルが発生した場合、すぐに予備機材へ切り替えられる準備が必要です。
会場内で予備カメラを安全かつ迅速に手が届く場所に置けるか。
カメラに(保護者のカメラにも)写り込まない場所、移動導線を邪魔しない位置に確保できるか。
これを事前に先生と相談し、許可を得ておくことで、緊急時のリカバリーがスムーズになります。
授与シーン撮影時の予備機材は、演台の下やカメラマン立ち位置側の(目立たない)壁際に置くことが多いです。
集合写真は、卒園式の記録として欠かせないカットです。
ただし園によって撮影のタイミングや撮影パターンにバリエーションがあります。
主に確認すべき内容:撮影のタイミング:式典前に撮影するか、式典後に撮影するか
撮影場所:屋外か屋内(卒園式会場・クラス)か、背景はどこにするか
撮影パターン:園児のみ、園児+先生、園児+先生+保護者も入れるか
園児の集中力や式の進行状況も考慮して、ベストなタイミングを一緒に考えることが大切です。
卒園式終了後に室内で集合写真を撮影する場合は、集合写真撮影で使用する三脚を会場からアクセスの良い場所(室内の倉庫の中、カーテンの後ろ、廊下など、写真に写り込まず、式の進行の邪魔にならない、安全な場所)に置かせていただくと集合写真撮影がスムーズに行えます。
近年では、卒園式のあとに保護者主催の謝恩会(卒園児が先生に感謝する会)を開催するケースもあります。
を事前に確認しておくことで、当日の撮影スケジュール全体を見通すことができます。
園によっては、フラッシュの使用を制限している場合があります。
室内照明が暗い会場では、フラッシュが必要になることもあります。 会場のカーテンがすべて閉じられて室内が暗い場合はカーテンを開けられるかについても確認します。
ビデオ上映などを行うためにカーテンが閉じられていることもあります。その場合、ビデオ上映以外の時間はカーテンを開けていただき、窓からの自然光を取り入れることで、撮影のクオリティが大きく向上します。
式の進行も配慮しながら、フラッシュの使用可否を事前に確認しておくと良いでしょう。
卒園式当日は、限られた時間の中で感動の瞬間が次々と展開されます。
その一つひとつを逃さず記録するためには、事前の打ち合わせが何より重要です。
これらを丁寧に先生とすり合わせておくことで、撮影時の判断が早くなり、写真の完成度が確実に向上します。
卒園式というかけがえのない一日を、写真というかたちで美しく残すために。
朝の打ち合わせから撮影は始まっています。
卒園式の日、園前に設置された「卒園式」の看板は、保護者にとって最も撮影を希望されるスポットです。
限られた時間で、できるだけ多くのご家族を丁寧に撮影するためには、効率的な進行と的確な構図の判断が不可欠です。
卒園式の家族写真は主に2つのタイミングで行えます。
このように、同じ家族を複数の構図・距離感で撮影しておくことで、「全体の記録としての1枚」「雰囲気を伝える1枚」「表情の美しい1枚」と、異なる用途や好みに応じたセレクトが可能になります。
撮影後、保護者が「どの写真を選んでも良い」と感じられるよう、バリエーションを意識した丁寧な撮影を心がけましょう。
保護者の荷物置き場を園に依頼して用意してもらえると、撮影が非常にスムーズになります。
小テーブルや椅子を1〜2セットでも良いので、屋外の看板近くに設置してもらえるとベストです。
保護者から「スマホでも撮ってください」とお願いされることが多くあります。撮影業務の一貫で対応しない方針であれば、「すみません、私の方では撮影ができないんです」と丁寧に断りましょう。
園側と連携し、保護者のカメラ・スマホでの撮影担当を先生に依頼しておくとスムーズです。 特に、先生一人を看板の横に常駐してもらうとベストです。
式が始まる前の“何気ないひととき”を、思い出に残る写真に。
卒園式当日の朝、式典開始前の控室は、まだ緊張が始まる前の自然な表情と、準備に追われる先生たちの姿が交錯する、大切な記録ポイントです。
この時間帯には、卒園児と先生、友達同士の関わりがもっともリラックスして表れる瞬間が詰まっています。
今回は、「控室での撮影ポイント」として、朝の撮影で押さえておきたいシーンや注意点を紹介します。
式典が始まる前、控室に登園してくる卒園児たちの様子は、家族から離れて、友達や先生と再会する喜びにあふれています。
撮影ポイント:
この時間は子どもたちの表情も自然で豊かです。
カメラマンは控室の隅や出入口近くから、邪魔にならない位置で自然な動きを追いかけるスタイルがベストです。
保育園や幼稚園によっては、卒園児の胸にコサージュやお花を先生がつけてあげることがあります。
このシーンは、先生と卒園児の関係性や、先生の愛情が写真に表れる絶好の瞬間です。
撮影の工夫:
背景がごちゃついている場合は、絞りを開けて背景を柔らかくぼかすのもおすすめです。
卒園児たちが式が始まる前に、友達同士で談笑したり、写真を撮り合ったり、遊びの延長のように過ごす姿も大切な記録です。
こうした場面は、あとで見返すと「卒園の日の“日常”」が感じられる貴重なカットになります。
できるだけ、全体の様子がわかる引きの構図と、表情がよく分かる寄りの構図をバランスよく撮りましょう。
園によっては、控室(多くは卒園児の普段使っていた保育室)に、卒園式用の装飾や撮影ブースが用意されていることもあります。
こんな場所は撮影に最適:
こうしたブースでは、
など、バリエーション豊かな写真を撮影します。
背景が綺麗に整っている場合は、明るめの設定でハイキーに撮ると祝福感がアップします。
控室での撮影は、式典の厳かな雰囲気とは対照的な、園児たちの素顔や先生との日常的な関係性が写る貴重な時間です。
「登園してきた瞬間」「お花をつけてもらう瞬間」「友達と笑い合う瞬間」
これらは数年後にアルバムを見返したとき、「あのときこうだったね」と笑顔がこぼれる“宝物のような記録”になります。
プロのカメラマンとして、控室の何気ない一瞬にも温かく寄り添い、感情のこもった写真を残していきましょう。
式の始まる「10分前」には、会場へ行き撮影準備と最終確認を行います。
このタイミングで(式が始まる直前に)、カメラとフラッシュのバッテリーを交換しておくと卒園式本番撮影に安心して望めます。
卒園式の本番がいよいよ始まる「開式の言葉」そして「卒園児の入場シーン」。
この時間帯は、緊張と高揚、少しの照れ、そして成長した姿が交差する、最初のシャッターチャンスです。
さらにこの後には証書授与シーンが控えているため、カメラマンは入場と授与の両方を見据えた立ち回りが求められます。
ここでは、卒園児入場シーンを撮影する際の具体的な立ち位置や構図、注意点などを解説します。
入場シーンは、卒園式という一日の物語の“幕開け”にあたる場面です。
園児たちが一人ずつ真剣な表情で歩いてくる姿や、堂々と胸を張る姿は、保護者の心を打つ瞬間です。
このときの撮影では、入場の移動経路・速度・並び順・向きを事前に把握しておくことが重要です。
卒園児入場からの後すぐに始まるのが証書授与。
そのため、カメラマンは証書授与を撮影する立ち位置に近い場所から、入場シーンの撮影を行うことが多くなります。
メリット:
入場シーンは、正面からの撮影にこだわりすぎず、斜め前方や横からの構図でも自然な歩みや緊張した表情がよく伝わります。
状況によっては、園児が入場していくる場面を園児の真正面から撮影することもあります。
園児が歩いて来るシーンを撮影する場合は、被写体ブレを抑えるためにシャッター速度を早めに設定(1/250〜1/400)で撮影します。
絞り、ISO感度、シャッター速度は、マニュアル設定で撮影します。マニュアル露出で撮影することにより、逆光時に顔が暗くなることなく、また写真編集時に全体の露出補正をしやすくなります。
秒間5〜8コマ/秒程度の連射設定にして各ショットを2〜3連射して撮影すると園児の目つぶり対策になります。
被写体認識を人物認識(瞳AF)に対応して撮影しますが、万が一背景の、目力の強い別の人物へのフォーカスが抜けてしまう場合は被写体認識OFFで撮影します。 撮影中に、すぐに被写体認識OFFに設定できるよう事前に設定変更の準備、または、素早く設定できるようカスタムボタンやカスタムメニューに被写体認識ON/OFF設定を登録しておきます。
開式直後は、園内に緊張感が張り詰めています。
カメラマンがガチャガチャと動いたり、大きな音を立てることはNGです。
特に保護者がカメラマンを見ている可能性が高いので、所作そのものが信頼に直結します。
卒園式の入場シーンは、園児の緊張と自信が混じった大切なスタートの瞬間です。
その空気を壊さずに、かつ確実に記録するためには、
が求められます。
入場から証書授与までの一連の流れを無理なく、自然に、連続的に記録することが、プロとしての価値を生むのです。
卒園式の中でもっとも重要な撮影ポイントが「卒園証書授与」です。
園児が証書を両手で受け取る姿は、保護者にとって感無量の瞬間。
しかしその瞬間、園児は壇上に向かっており、保護者席からは表情が見えないのが一般的です。
この瞬間を表情ごと記録できるのは、カメラマンだけです。
だからこそ、プロのカメラマンには、一人も漏らさず、丁寧に記録する責任があります。
ここでは、証書授与シーンを成功させるための事前準備・撮影設定・対応策を詳しく解説します。
式典当日の朝、必ず先生との打ち合わせで次のポイントを確認します。
この確認によって、撮影位置の最適化や、構図の選定が事前に可能になります。
撮影すべき具体的なシーンと、そのねらいどころは以下の通りです。
園児が呼名されて、授与、席に戻るまでの一連のシーンをテンポ良く撮影します。
証書授与の瞬間の前後のシーンも撮影することにより、「証書授与シーンの写真が1枚も無い」というリスクを軽減します。
■証書授与シーンを撮影するおすすめ機材:
メイン機材は24mmの広角から120(105)mmの中望遠まで対応し、カメラを持ち替えずに柔軟な構図バリエーションを撮影できるのが特徴です。
サブ機材で望遠レンズを使った撮影を行うこともあります。
メイン機材にトラブルが発生した時のために、すぐに持ち替えできる場所に予備機材を置いておきます。
■撮影設定(目安):
■フォーカス設定:
■フラッシュの設定:
■連写で目つぶり対策を行います:
万が一、撮影設定ミスや不意の動きで一部の園児の証書授与の瞬間を撮り逃した場合は:
大切なのは、「その園児の写真が1枚もない」という事態を確実に防ぐことです。
そのためにも、受け取り前後の複数カットを撮影しておくのが安心です。
卒園証書授与は、園児にとっても保護者にとっても、人生で一度きりの晴れ舞台です。
カメラマンはその瞬間の表情、動作、まなざし、感情の揺れすべてを写し取る、唯一の存在です。
証書授与の瞬間、園児は保護者に背を向けているので、授与の瞬間の写真を撮影できるのはカメラマンだけなのです。
この積み重ねが、保護者にとって一生の宝物となる一枚へとつながります。
細部にまで気を配った撮影で、卒園式の感動を写真に閉じ込めましょう。
卒園式の中で、「記念品授与」が行われる場合があります。
記念品贈呈は、園⇒園児代表へ、または、逆の園児代表(または保護者)⇒園への2つのパターンがあります。
卒園式の中ではなく、謝恩会で記念品贈呈が行われる場合もあります。
園児にとっては“もらう喜び”・“送る喜び”、園にとっては“受け取る感謝”が交錯する温かな場面です。
ここでは、記念品授与シーンを撮影する際に確認しておきたい流れや構図、撮影時の注意点をまとめます。
式典当日の朝、先生との打ち合わせの中で記念品授与の流れを確認します。
事前にこれらを確認しておくことで、立ち位置や構図を明確に決められ、撮り逃しを防ぐことができます。
■パターン①:園から園児へ記念品を贈呈
例:鉛筆、クレヨン、アルバムなど
⇒ 園長先生から代表園児卒園児(1〜数名)に記念品を授与するスタイル
撮影ポイント:
証書授与シーンと同様に、
園児の表情がしっかり見えるよう、園児の前方~斜め前からの位置で撮影を行います。
シャッターチャンスは一瞬なので、目つぶり防止のため、各シーンを数ショットずつ撮影します。
■ パターン②:園児(または保護者代表)から園へ記念品を贈呈
例:絵本、クラス名プレート、手作りの帽子入れ、マイクセットなど
⇒ 園児代表または保護者が、園長先生に記念品・または記念品の目録をを手渡します。
撮影ポイント:
この場面でも、主役はあくまでも(先生ではなく)園児です。
園児の顔がよく見える方向から構図を組み立てましょう。
今までたくさんの卒園式・謝恩会を撮影してきた中で、ユニークな園児からの記念品贈呈シーンを紹介します。
卒園式の中で、在園児から卒園児に向けた「送る言葉」や「お祝いの歌」の披露が行われることがあります。
このシーンは、在園児の純粋な言葉や歌声が会場を包み、卒園児の心に残る感動の時間となることも多い重要な場面です。
ただし、園によって構成や演出が異なるため、事前の打ち合わせと現場対応の柔軟さが求められます。
ここでは、在園児による「送る言葉・歌」のパターン別に撮影方法のポイントを解説します。
送る言葉・歌には、次のパターンがあります。
「送る言葉・歌」のシーンは園によって扱いが異なります。
そのため、撮影当日の朝の段階で、以下の項目を必ず確認しておきましょう:
確認をとっておくことで、先生から次のようなリアクションが得られるはずです:
このやりとりにより、園の意図に沿った撮影ができ、トラブルやクレームも回避できます。
在園児による発表は、3分〜5分程度と短時間で終了することが多く、撮り直しはききません。
そのため、
在園児の発表シーンを撮影する際には、次のようなカットがあると印象的です:
在園児による「送る言葉」や「お祝いの歌」は、式の中で唯一、卒園児が“受け取る側”になる特別な時間です。
この場面をしっかり記録することで、卒園児にとっても、「こんな風に見送ってもらえたんだ」という心温まる思い出になります。
この丁寧なアプローチが、写真という形で「想いをつなぐ」役割を果たすのです。
卒園式のクライマックスともいえる、卒園児たちによる「お別れの言葉」や「感謝の歌」のシーン。
この場面では、園児たちが保護者に向けて感謝を伝える姿に、会場全体が感動に包まれます。
「ぼくたち」「わたしたちは」「4月から」「小学生になります」「おとうさん」「おかあさん」「いままで」「育ててくれてありがとう」「小学生になっても…」
そんな言葉がひとことずつ丁寧に語られ、歌へとつながっていくこの時間は、写真に残してこそ価値のある瞬間です。
カメラマンとしても、ファインダー越しに思わず目頭が熱くなることの多いシーンです。
このシーンは演出・発表スタイルが園によって異なるため、朝の打ち合わせで進行内容と発表場所・園児の立ち位置を確認しておきます。
これらを事前に把握することで、撮影時の立ち位置やレンズ選び、構図の準備がスムーズになります。
このシーンは、保護者席の後方から撮影することが多くなります。
そのため、視界を確保するための工夫が必要です。
発表や歌のシーンはテンポよく進行することが多く、撮り漏れに注意が必要です。
「うちの子どもの写真が一枚もない」というクレームを防ぐために、「全員を漏れなく撮影」します【重要】。
この場面で特に大切なのは、「表情を丁寧に残すこと」。
話す・歌う・言葉を交わす、それぞれの瞬間に見せる、感情のこもった表情が保護者の心に刺さります。
卒園児の“成長の証”が凝縮される瞬間を、写真という形で記録する意識を大切にしましょう。
卒園児によるお別れの言葉・歌のシーンは、卒園式の中でもっとも感情が揺れる瞬間の一つです。
そこに込められた子どもたちの言葉とまなざし、声、表情――それらを写真で残すことは、保護者にとって一生の宝物になります。
これらを押さえておくことで、感動の瞬間を確実に、心に残るかたちで届けることができるでしょう。
暗い会場で“感情”を残す、雰囲気重視の記録術です。
卒園式の中盤や締めくくりとして行われることの多い、園生活の思い出を振り返るビデオ上映。
カーテンや暗幕が閉じられ、会場内は一気に暗転。スクリーンには園児の笑顔、在園児や職員からの歌やビデオメッセージが流れます。
この時間は、笑顔あり、涙ありの感情があふれるひととき。
ただし、会場内が真っ暗に近くなるため、撮影難易度は非常に高く、事前確認と柔軟な対応が求められます。
ビデオ上映は、写真撮影の対象として“必要かどうか”が園によって異なります。
そのため、式前の打ち合わせで以下のように確認しておくのが基本です:
「スライドショーのシーンは会場がかなり暗くなると思いますが、雰囲気写真を何枚か撮る程度で大丈夫でしょうか?
それともスライドの内容自体も撮影しておいた方がよいですか?」
多くの場合、以下のような返答を得られることが一般的です:
こうした確認により、無理な設定や不自然な撮影を避け、園の意向に沿った自然な記録が可能になります。
また、事前確認しておくことにより、「スライド写真を撮影して欲しかったのに写真がありませんでした」というクレームリスクを軽減できます。
真っ暗な会場での上映中は、スライドの内容を撮るのではなく、それを見ている園児や保護者の様子を撮ることに意味があります。
撮影の主目的:
■撮影に最適なレンズ
■ カメラ設定の目安
■ おすすめの撮影アングル
会場が予想以上に暗い、またはプロジェクターの明かりすら届かない場合には、無理をせず撮影を控える判断も必要です。
その際も、事前に撮影の可否を確認していれば問題は起こりません。
また、撮影が難しい場合でも、ビデオ上映直前・直後の会場の様子を撮影しておくことで、ストーリーのつながりを補完できます。
ビデオ上映シーンは、撮影条件が厳しいため“記録しにくい”とされがちですが、その分、静かに流れる感情をそっと写すチャンスでもあります。
これらを意識することで、式の感動をつなぐワンシーンとして価値ある一枚が残せるでしょう。
卒園式の締めくくりとなる「退場シーン」。 この瞬間は、園児たちにとっては式典からの“旅立ちの一歩”であり、保護者にとっては子どもと一緒に歩く最初の卒業の道でもあります。
証書授与や入場と同様に、この退場シーンも感情が最もあふれる場面のひとつです。
本記事では、卒園児の退場シーンを撮影する際のパターン別の流れや立ち位置、構図、声がけ撮影の方法などを具体的に解説します。
会場の構造や演出によって、退場時の歩く方向が変わります。それぞれに合った撮影方法を工夫しましょう。
園によっては、退場中に親子が立ち止まり、その場でカメラマンが記念写真を撮影する演出が組まれることもあります。
撮影の流れ:
退場シーンは、卒園式のフィナーレであり、これまでの歩みとこれからの未来を象徴する瞬間です。
園児一人ひとりが自分の足で歩く姿、保護者と手を取り合って歩く姿には、言葉では伝えきれない感情が宿っています。
退場シーンでは、園児も保護者も笑顔が溢れ、本当に良い表情を見せてくれます。
その積み重ねが、「歩いて退場する」だけではない、記憶に残る一枚の写真を生み出します。
次のような場所で撮影することが多いです。
いずれも、「園児+先生(担任+園長、副担任)」「園長+先生+保護者(各家庭 1 or 2名 or それ以上」で撮影するパターンもあります。
集合写真の撮影方法については、集合写真の撮影方法の記事をご覧ください。
卒園式会場で撮影する場合、会場中央の花道の床などに飾られているお花の装飾や鉢植えを、集合撮影する園児の最前列前の足元に横一直線で並べると早やかな印象になります。
集合写真撮影時に、園児の胸にコサージュが付いている場合は、全員にちゃんと付いているか、斜めになっていないかなどを確認します。
スーツやドレスを着ている場合は、ボタンの掛け違いがないか、服装が乱れていないかを確認します。
撮影写真に全員の顔が写っている(前の人で顔が隠れていない)ことを必ず確認します。
よりフォーマルな印象に撮影したい場合は、
で撮影すると美しい写真に仕上がります。
「空気」や「思い出」を伝える写真を残すために。
卒園式当日、式典中や証書授与などの主要シーンをしっかり撮影することはもちろん大切ですが、その日その場所でしか残せない“空気感”を伝えるイメージカットの存在も、保護者にとても喜ばれるポイントです。
式が始まる前の時間、園児が登園してくる前の静かな園内には、卒園の日の特別な雰囲気を感じさせるシャッターチャンスがたくさんあります。
この記事では、卒園式当日に撮影しておきたい「イメージカット」の種類と、それぞれの撮影のコツをまとめます。 朝、卒園児が登園してくる前に、次のようなイメージカットを撮影しておくと喜ばれます。
まずは園の外観や園名の入った看板を撮影しておくと、卒園アルバムやスライドショーの冒頭を飾る素材として重宝されます。
撮影のポイント:
卒園児たちが日々過ごした園庭や遊具は、園での生活の象徴でもあります。
静かな園庭を写しておくことで、「あの場所で遊んだなぁ」と子どもたちが思い出を振り返る材料になります。
撮影のポイント:
式典が行われる会場を、まだ人がいないうちに撮影しておくことはとても重要です。
このカットは、式の始まりを伝える“導入カット”として役立ちます。
撮影のポイント:
園によっては、式典のために教室や会場内の壁が特別に装飾されていることがあります。
このような“園ならでは”の装飾は、卒園アルバムや思い出ムービーで非常に喜ばれる素材です。
撮影のポイント:
会場全景写真、装飾の写真は、先生が翌年度以降に卒園式会場を作る際に「昨年はどうだったっけ?」と参考にする際にも役立ちます。
卒園児たちが日々を過ごしたクラスの保育室の様子も、保護者にとってはとても貴重な思い出の一部です。
撮影のポイント:
撮影エージェントや園によっては園児の名前などの個人情報が写る写真の撮影はNGの場合もあるので事前に確認しておきます。
卒園式撮影というと、どうしても式典本番のシーンに目が向きがちですが、その一日を「物語」として記録するなら、始まりを感じさせるイメージカットが不可欠です。
写真が語るストーリーに厚みを持たせるためにも、朝の時間帯にこそシャッターを切る価値があります。
感情に寄り添い、園の空気を感じさせる写真を意識して、卒園式の撮影をさらに豊かなものにしていきましょう。
卒園式の感動をもう一度。小さな「ありがとう」を確実に残すために。
卒園式が終わったあと、園によっては保護者主催で謝恩会やミニ謝恩会が開催されることがあります。
謝恩会とは、保護者や卒園児たちが、担任の先生や職員の方々に感謝の気持ちを伝えるために開く、あたたかくアットホームな場です。式典とはまた違った笑顔や涙があふれ、写真に残しておきたいシーンが数多くあります。
ただし、謝恩会はサプライズ的に開催されることもあり、事前の確認と当日の臨機応変な対応が非常に重要です。
謝恩会は基本的に保護者が主導するため、担任の先生には内緒で進められることが多い一方で、園長先生や副園長先生はある程度内容を把握している場合があります。
そのため、卒園式開始前の先生との打ち合わせの中で、以下の2点を必ず確認しましょう。
また、撮影エージェント経由で卒園式の撮影に派遣されている場合、あらかじめ決められた撮影終了時刻の都合で、謝恩会の最後まで撮影できない可能性もあります。その際は、可能な範囲で対応する旨を伝え、撮り漏れのないように配慮します。
謝恩会の撮影を行うことが決まった場合は、謝恩会準備が始まった頃を見計らって、謝恩会主催者の保護者と軽く打ち合わせを行いましょう。
園児から先生へプレゼントを渡す場面などでは、園児の顔が見える方向から撮影するための立ち位置や角度の調整がとても重要になります。
事前に簡単な打ち合わせをしておくことで、慌てることなく確実にシャッターチャンスを押さえることができます。
謝恩会には園や保護者によってさまざまなスタイルがありますが、よくある内容とその撮影ポイントは以下の通りです。
謝恩会は、卒園式本番とはまた違った、素の表情や心の交流が見える大切な時間です。
プレゼントを手渡す瞬間、言葉にならない涙、思わず笑顔がこぼれる園児や先生の姿——それらは写真として残すことで、保護者や先生にとって一生の宝物になります。
事前の確認と現場での柔軟な対応、そして感情の機微を丁寧に写し取ること。
それが、カメラマンとしてこの場面を記録する最大の使命です。
入園式、卒園式などの式典撮影の際は、カメラマンの服装は黒・紺などのダーク系を基調としたジャケット・スーツが基本です。
式典撮影は、フォーマルで清潔感のある服装・髪型が求められます。
ピアスなどのアクセサリーは、子どもの誤飲防止のために外しておきます。
卒園式は、写真でしか残せない「感情の瞬間」が詰まった一日です。
プロカメラマンに求められるのは、流れを読む力、立ち回りの柔軟さ、そして“静かな情熱”です。
各シーンごとの役割と撮影テクニックを事前に確認しておくことで、当日は安心して撮影に集中でき、結果的に保護者にも、園にも喜ばれる写真が残せます。
ぜひ各記事を活用し、卒園式撮影のクオリティ向上にお役立てください。
■スクールフォトの季節イベント撮影方法(保育園・幼稚園)
卒園式(保育園、幼稚園)の撮影方法
入園式(保育園、幼稚園)の撮影方法
夏まつりイベントの撮影方法
お泊り保育の撮影方法
運動会(保育園・幼稚園)の撮影方法
ハロウィンイベントの撮影方法
クリスマス会の撮影方法
新年こども会の撮影方法
節分イベントの撮影方法
ひな祭りイベントの撮影方法
■スクールフォトのイベント撮影方法(保育園・幼稚園)
日常保育・日常の様子の撮影方法
誕生日会の撮影方法
【屋外】遠足の撮影方法
【屋内】遠足の撮影方法
親子遠足の撮影方法
水族館遠足の撮影方法
お泊り保育の撮影方法
生活発表会の撮影方法
卒園アルバム用個人写真の撮影方法
2025/5/1 スクールフォトにおける4つの撮影目的と対応のポイント
2025/4/30 日常保育・日常の様子の撮影方法
2025/4/30 午睡の撮影方法
2025/4/29 Lightroom、LrCとは
2025/4/29 Photoshopとは
2025/4/29 ISO感度とは
2025/4/29 Adobe とは
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